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2007年09月 アーカイブ

2007年09月01日

今年の夏は暑い日が続きましたね。
サッカーのような激しいスポーツはこの時期、本当に苦しいものです。

僕自身コーチになって初めての夏は、大変忙しく厳しいものでした。選手のように激しい動きはしませんが、グラウンドに出ている時間は現役の時より倍以上になりました。おかげで、顔は焼けているというより、焦げているように黒くなりました。

さて今回のコラムでは、半年間コーチとして小学生から高校生まで見て、共通して言える事がいくつかあって、その中の1つ「声」について書きたいと思います。

声を出すというのは、技術の1つだということです。そしてその声は個人にとっても、チームにとっても大きな武器になるということです。声の重要性というのを今の子供たちはいまいち把握していないように思います。
足先だけの技術にとらわれて、サッカーの基本であるボールを蹴る、止める、走る、そして声を出すということを忘れているように思います。これはプロの選手にも多く見られることですが、声を出していれば何事もなく済む場面で声を出せずにピンチをむかえたり、自分の狙いを味方に伝えられずミスになってしまったりと、本当にもったいない場面があります。

そしてもう1つ声を出せるか出せないかで、ポジションを失う可能性もあるという事です。例えば、スピードがあり技術もあるのに、声が出せないという理由でセンターラインを任すことができないこともあります。意識せずにいつも声をかけている選手もいれば、意識していても声に出せない選手もいます。これは簡単のようで一生克服できない人もプロの選手の中にもいます。だから声を出せるというのは今の時代にとって非常に武器なのです。

先日、本田泰人の引退試合に参加したとき、現ブラジル代表コーチのジョルジーニョと夕食で1時間以上サッカーの話をしました。その中でも声の重要性を話していました。声でカバーできる場面でその声が出せないと言っていました。声を出せない人が増えているのは日本だけではなく、サッカー大国ブラジルでも問題になっているようです。だからこそ、これからの時代で声を出せるというのは、個人としてもチームにとっても大きな武器なのです。

自分はキャプテンじゃないからとか、自分はタイプ的にプレーで見せるからとか、そういう問題ではないのです。声を出すというのは個人の技術なのです。だからこそ今の子供達にはもっと意識をしてほしいのです。声の種類も様々で、指示の声はチームを助け。励ましの声はチームに勇気や集中力を与えてくれます。

サッカーがチームスポーツである以上、声というのは欠かす事のできない技術の1つだと僕は考えています。

2007年09月10日

挫折

僕のサッカー人生の中で最初の挫折は中学生時代にあります。

小学校1年生からサッカーを始め、その魅力にとりつかれた僕は暇さえあればボールを蹴っていました。その結果、6年生までは順調すぎるほどの時期を過ごす事ができました。その勢いで、中学校は地元の中学校を選ばずに、静岡の中では一番強いと噂されていた東海第一中学校を選びました。

お金がかかる事は聞いていたので、父親の機嫌を見計らい、勇気をふりしぼってお願いをしてみたところ、予想に反し「勝負してこい」の一言でした。希望に胸を膨らませ、当然一年生から試合に出られると思っていた僕に、恐ろしい現実が待っていました。当時、成長期をむかえていなかった僕は、クラスで2番目の小ささで、サッカー部に限っては、ほとんどの人が大男に見えました。
ドリブルすればとばされ、キックに至っては、3年生の半分位しか飛びません。さらに体が小さいなりの工夫がなかった僕のポジションは当然ボール拾いです。マラドーナに夢中だった僕の頭にはドリブルしかなく、パスやボールを持っていない時の動きなどまったく興味がありませんでした。当時の監督の目には、「とても頭の悪い選手だ」と映っていたに違いありません。

自分のわがままで選んだ学校で、高いお金を払ってもらっている両親に、「駄目だった」ではすまないし、ボール拾いをしている事は口が裂けても言えません。この状態からなかなか抜け出せなかった僕の頭から500円サイズ程、髪が抜けてしまいました。当時は友達にからかわれる程度で、さほど気にしてはいませんでしたが、精神的にかなりつらかったのを覚えています。

ここからどうしても抜け出したかった僕は、まずドリブルを封印し、少ないタッチでプレーするように心掛けました。性格的にあまり積極的にアピールする方ではありませんでしたが、この時ばかりは声を出し、先頭に立って練習をしていました。このキャラチェン(キャラクターチェンジ)大作戦が見事に成功します。
僕の変化に気づいてくれた監督が、少しずつ試合で使ってくれるようになり、これがきっかけで体が小さくてもサッカーは出来るという自信が持てるようになりました。こうしてやっと脱出できた僕の頭からは自然と髪が生えていき、少しだけ自分がたくましくなったように感じました。同時にそれまでの長い間、体が小さいという事だけしか理由を見つけられなかった自分に腹が立ちました。

大事な事は、今の自分を知り、どうしたらいいのかを考え、勇気を持って行動してみる。決してあきらめない事だと思います。僕自身、これから待ち受けているたくさんの「かべ」にぶつかった時、またこの時の事を思い出すと思う。

2007年09月20日

Jet Lag

先日の日本代表vsスイス代表(9月11日=日本時間12日早朝@オーストリア)のゲームを見られた方はいるだろうか?劇的な逆転勝利で3大陸トーナメント優勝を決めた試合だ。ケンゴも出場時間こそ短かったが、最後の勝ち越し点に大きく絡むなど活躍してくれた。

そのテレビ中継を見ていた人は気づいてもらえたかと思うけれども、あの試合を解説していたのは僕である。もちろんその前のオーストリア戦(7日=同8日早朝)も含めて、現地クラーゲンフルトのスタジアムから生中継していたので、10日間ほどオーストリアに行っていたわけである。それから昨日帰国したばかりのところでこの原稿を書いてるのだが、実はとにかく時差ボケがひどくて、メチャクチャつらいのだ。

7時間も時差があるんだから、時差ボケがあって当然でしょって思う人もいるかもしれないけど、僕は今まであまり時差ボケとは関係ないタイプだったのだ。選手時代、遠征でいろんなところに行ってきた。ヨーロッパ、南米、東南アジア、中東といろんなところへ行って、いろんな経験をさせてもらってきたわけである(北中米とアフリカにはいまだに行ったことがないが)。出身地がサッカーどころ清水だったということもあって、小学生のときには韓国、中学生ではブラジル、タイと、海外へ行く経験をすでに積んでいた。だけど当時から時差ボケっていうのはほとんど感じたことがなかった。

現役中も同じで、あまり気になったことはなかった。ヨーロッパはもちろん、南米のように12時間もの時差があるところでも、あまりつらくなかった。代表で駆け出しだったころ、当時の先輩たちに話すと「若い証拠だな。オレも若い頃は大丈夫だったけど、今はきつくて仕方ないよ」と言われたことを思い出す。それを考えると、「オレも歳とったのかなぁ」なんて思ったりする。

でもよく考えてみると、一番のポイントは睡眠ではないかと思うのだ。今回12時間かかった帰りのフライトで寝れたのは大体2時間ぐらい。それも朝8時に成田に着く便だったから、ほとんど徹夜状態って感じで、気持ち悪いというか、変な感じというか、嫌な感じは半端じゃない。日本に着いてからも、早く時差ボケ取りたいから昼寝しないように必死で我慢したんだけど、それがまた本当につらくて…。でも、行きの便では半分以上眠れたこともあって、オーストリアに行ったときにはあまり気にならなかった。そう考えると、いつでもどこでも眠れなくなってきたってのが、歳をとったっていう証拠なのかもしれない。

子供の頃からいろいろなところに行ってきたおかげで、移動中はどこでもどんな状況でも眠る癖がついていた僕。実はこれが大きかったんだろうなって思うのだ。バスの狭いシートでも、冷房がかからなくても、周りがいくら騒いでいようとも、いつでも眠れた。だから昔は、時差ボケになることもなかったんじゃないかなと思うのだ。

そういうわけで、今回初めてといっていいくらいきつい時差ボケに悩まされてるんだけど、帰ってきてすぐにリーグ戦を戦わなければならないという選手たちは、本当にすごいとしか言いようがない。自分が現役の時、ここまでタイトなスケジュールというのはたぶん一度ぐらいしか経験しなかったけど、そのときは後半の15分過ぎから本当に走れなくなったのを今でも覚えている。あまり時差ボケを感じない体質だった僕ですらきつかったんだから、時差ボケになりやすい人は相当つらいんだろうなと思う。

フロンターレからは今回の欧州遠征に川島とケンゴが行ってたんだけど、15日のJリーグ大分戦にもフル出場してたみたいですごいなと思う。だけど、この後がさらに大変だ。19日にイランでACLセパハン戦を戦ってきて、すぐまた日本に戻ってきて23日に柏レイソルとのリーグ戦がある。実は日本から西方面に行くときの時差ボケというのはあまりきつくない(理由はよく分からないんだけど)。だからセパハンではいい戦いをしてきてくれるだろう。だが日本に戻ってきての柏戦は、移動の疲れや、きつくなるであろう時差ボケなどを含めて、本当に厳しい戦いとなるはずだ。

僕の経験からアドバイスできることはといえば、とにかく眠ること。移動中には寝られないというデリケートなタイプの選手もいるかもしれないが、それではこのタイトなスケジュールは乗り越えられないだろう。それから食事や水といった生活の基本的なところでも相当なストレスがかかるだろうが、力を最大限に出すためにはそこもクリアしなければならないところだ。これが掲載された直後の柏レイソル戦が、時差ボケも含めて一番コンディション的につらい戦いになるはずであるが、ぜひともチーム全体で力を合わせて乗り越えてくれることを期待したい。

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