「自分に負けないために」

今野章スペシャルインタビュー

引退を決意した理由

今野の引退を聞き「まだやれるのでは?」と感じた人は多かったと思う。引退を決意する理由は選手の数だけ違う。今野章の幕引きは、自分で決意したものだった。

──引退発表を聞いたとき、まだやれるのでは? と思いました。引退を決意した理由を教えてください。

「昨年のオフぐらいから意識をしていました。昨年からなかなか試合にも出られなくなっていたし、チームがステップアップしていくなかで、自分が貢献できるイメージが描けなくなっていた。練習ではやれても、試合のなかではいままでやれていた部分ができなくなってきたことを感じていたし、チャレンジしないことも増えてきていた。力の衰えを感じていたことは素直に認めます。昨年、相馬さんが引退をしたときに相談するなかで、『もう1年やらせてもらえるのだから、集大成じゃないけど、いろんなこと考えながらできるんじゃない?』と言われ、そうしようと決めていました。それでも、いざ決断するとなると人間は深く考え直すと欲が出てくるもので、体がキレていればまだやれると思う。かと思えば、翌日にはミスをしてやっぱり通用しないだろうと感じる。もっと若ければ、他のチームに行って絶対にやってやるという自信と意欲があったし、実際にジュビロを戦力外になったときは、そう思っていた。結局、悩んだけれど引退の決意は変わらなかった」