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2008年02月 アーカイブ

2008年02月01日

親のように選手を育てる

「子は親の鏡」

けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる
とげとげした家庭で育つと、子どもは、乱暴になる
不安な気持ちで育てると、子どもも不安になる
「かわいそうな子だ」と言って育てると、子どもは、みじめな気持ちになる
子どもを馬鹿にすると、引っ込みじあんな子になる
親が他人を羨んでばかりいると、子どもも人を羨むようになる
叱りつけてばかりいると、子どもは「自分は悪い子なんだ」と思ってしまう
励ましてあげれば、子どもは、自信を持つようになる
広い心で接すれば、キレる子にはならない
誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ
愛してあげれば、子どもは、人を愛することを学ぶ
認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる
見つめてあげれば、子どもは、頑張り屋になる
分かち合うことを教えれば、子どもは、思いやりを学ぶ
親が正直であれば、子どもは、正直であることの大切さを知る
子どもに公平であれば、子どもは、正義感のある子に育つ
やさしく、思いやりを持って育てれば、子どもは、やさしい子に育つ
守ってあげれば、子どもは、強い子に育つ
和気あいあいとした家庭で育てば、
子どもは、この世の中はいいところだと思えるようになる

 この詩は、1954年に、家庭教育に生涯を捧げる教育家である、ドロシー・ロー・ノルトという人が書いたものです。すでにご存知の方もいると思います。

 自分が選手を引退し、子どもたちの指導に携わって約9年。まだまだ未熟ではありますが、最終的に行き着くのは、サッカー選手である前に、1人の人間としての成長をサポートしていくことが大切なのではないかと思っています。なぜならば、家庭生活を送るのも、学校生活を送るのも、サッカーをするのも、結局はその子自身、同じ1人の人間であるからです。その子の考え方が、家庭、学校、サッカー、全てに表れます。プロになりたい、プロになって活躍したい、海外でプレーしたいと、その子自身が、本気で強く思わない限り、絶対に到達することはできません。コーチはあくまでサポートしかできない。その子自身が、自分から成長していけるような考え方を教えること、手本を示していくこと、やる気にさせることが大切だという気がしています。

 これまで自分が指導に携わる機会が多かったのは中学生年代。小学生の時のようにはうまくいかないことが多くなってきます。でも、それは成長過程の上で仕方のないこと、変えることの出来ないこと。だから、その中でどうしていかなければいけないか、どのようにしていくことがいいのかを、考えて取り組んでいかなければいけない。

 子どもは1人1人違う。そして、成長の速度も1人1人違う。大人も同じです。この地球上、誰1人として同じ人間はいないし、同じ速度で成長はしません。だから、他人と比べるのではなく、その子自身がどうなのかをしっかりと見極めることが大切です。あの子にはできるがこの子にはできない、というのではなく、あの子のできないことがこの子にはできる、という長所の発見と、その長所を伸ばしていくことが大事だと思っています。自信がついてくると、不思議と出来なかったことも出来るようになってくることが多々あります。そういう状態をできるだけつくっていきたい。そうはいっても波はありますから、そこは我慢と、サポートの仕方をこまめに変えていくことが求められると思います。

 振り返って今までの自分はどうだったか。
 誉めていたか。認めていたか。励ましていたか。広い心で接していたか。叱りつけてばかりいなかっただろうか…。
その子のためだと思い、これが正しいんだと思って言ったことややったことが、実はそうではなかったんじゃないか。もっと違う、もっといい言い方ややり方があったんじゃないかと反省することも多く、やはり自分はまだまだであって、もっともっと勉強していかなければいけないと強く感じています。私がコーチとして子どもたちを教える立場ではありましたが、実はそれ以上に、自分が子どもたちから教えられることの方が多かったように思います。

 子どもたちが成長していくサポートをする上で、まずは、自分が1人の大人として成長していかなければいけない。そう考えながらやってきている中で出会ったのが、「子どもが育つ魔法の言葉」という本に書かれていた冒頭の詩です。子どもの部分を「選手」に、親の部分を「コーチ」に、家庭の部分を「チーム」と置きかえ、親のように厳しくもあり、だけど深い愛情を持って、あせることなくしっかりと、1人1人の選手の成長をサポートしていきたいと思っています。

2008年02月15日

忘れられない日

2008年1月22日は、僕にとって一生忘れることのできない日となった。指導者として約一年、一番多くの時間をともにしてきたフロンターレジュニアチームとの別れの日となったからだ。

今年の2月からユースのコーチ就任が決定していたため、この日が最後のトレーニングとなった。子供たちにはトレーニングの前に今日で最後だと伝えた。しかしトレーニングはいつものように始まり、いつものように終わった。トレーニング後の最後のあいさつでは、いろいろな事を話したかったが外は寒くて、風邪でも引かれてはと思い自分の気持ちの半分も言えないまま終わった。あっけなかった。

楽しいことも、辛いことも、いつも一緒だったから本当に離れるのが辛かった。しかし子供たちはいつも通りで、僕の中で自分の気持ちは伝わっていなかったのかなと、少し寂しさも感じた。

そしていよいよ帰るという時、数人の子供たちに手を引かれ事務所に連れて行かれて、「後ろを向いていて」と言われた。そして「いいよ」と声がかかり振り向くと、ジュニアの子供たちが全員集合していた。花束を渡され、一人の子供が作文を読んでくれた。読んだら泣くから読みたくないと言っていたが、せっかくだから読んでほしいとお願いした。そして泣きながら最後まで読んでくれた。みんなも泣きはじめ、僕は必死でこらえたが目は潤んでいたと思う。

 一昨年の引退セレモニーで泣いたときに、この先もう自分のことで泣くことはないと思っていたからすごく意外だった。

そして指導者になってはじめて出会ったのが彼らであったことを心から感謝したいと思います。夢や希望を与えようと一年間必死で接してきたが、その全てをもらったのは僕の方でした。夢も希望もそして勇気ももらいました。どんな時も本気で向き合うことで想いは届くと信じることができました。指導者としてどうして行けば良いかを教えてくれたのは子供たちでした。ユースへ行っても気持ちを大事に、ありのままの自分でやっていこうと決心させてくれました。そして彼らからの最後の言葉で、「ユースで待っていてね」と言ってきたのが最高にうれしかった。

僕は指導者というのは、子供に何かを与えるものだと思っていたが実際には違った。子供から受け取るものの方が大きく多かった。

昨年一年は僕にとって、とても貴重だったと思う。
この経験をユースへ行って活かしたいと思います。育成という枠の中でユースは子供たちの目標にあります。ですから、ユースをプライドを持った戦う集団にしていければと思っています。

そして2008年は子供たちに負けないくらいのパワーを持って臨みたいと思います。

2008年02月20日

自分を知る

今年もよろしくお願いします。
ご存知の方もたくさんおられるかと思いますが、正直、文章を書くのはとても苦手です。しかし、これを読んで少しでも何かを感じてもらえればうれしく思います。

今回は「自分を知る」というテーマにしてみました。

これは自分を成長させるためにとても大切になってきます。どの世界にも共通すると思いますが、今の自分は何が出来て、何が出来ないのか。この様な事は誰もが考えていると思う。しかし、自分を知っている人と、知らない人では、あきらかに差が出る気がします。この「自分を知る」という事を、去年の経験から書いてみようと思います。

引退してから一年、いろいろな変化がありました。特に変わったのが、人との出会いです。選手だった頃はサッカー関係者としかあまり接する機会がありませんでしたが、去年は、違う世界で生きてきた人達と、たくさん出会う事ができました。

そこで感じた事は、人にはいろいろな考え方、感じ方、生き方がある事を改めて知りました。想像を絶するような経験をしてきた人や、僕より年上なのに夢に向かってアルバイトをしながら頑張っている人、何も苦労する事なく成功を手にしたという人、家庭を築き家族のために戦っている人。
全ての人達に魅力があり、自分にないものを持っていました。また、周りの人達が自分をどのように見ていたのかという事もたくさん聞きました。これはとても面白い話でした。自分は周りの人達にこんな風に見えているだろうと、ある程度、想像はしていましたが、人は思っている以上に自分を見ているし、知っています。さらにビックリしたのは自分でも気付かなかった事を知っている人もいました。

これまでの自分は、周りの人達や自分を、狭い世界でしか見ていませんでした。しかし、世界を少し広げるだけで、自分がどのような人間か見えてきた気がしています。「自分を知る」という事は自分だけではわからない事がたくさんあります。いろいろな人に出会い、いろいろな話を聞き、いろいろな世界を見る。そして周りから見える自分を知る。これが自分を成長させるためにとても大切な事だと思います。

「自分を知る」それは「人を知る」事でもあると感じています。

2008年02月25日

16年目のJ開幕

皆さん、こんにちは。中西哲生です。

まずは最初に、川崎フロンターレの歴代そして現在のフロントの方々、歴代そして現在の監督、スタッフ、選手、ボランティアの方々、そして何よりサポーターに感謝したいと思います。僕にとってフロンターレは、ただ単に一人のJリーガーに過ぎなかった僕を育ててくれたチームであり、等々力競技場そしてGゾーン前は僕がもっとも愛する場所です。

皆さん、いつも本当にありがとうございます。そして、これからもよろしくお願いします。

今年はこのコラムにも文章を書きます。また今年も継続してフロンターレの特命大使として、様々な形でフロンターレの力になれればと思っています。

個人的には今年のJ開幕は、今までとは少し違う感じを受けてます。その理由は、ここから世界一に通じる道が少しですが見えたからです。昨年12月、アジアチャンピオンリーグ(ACL)で優勝した浦和レッズが、UEFAチャンピオンズリーグチャンピオンのACミランとクラブワールドカップ準決勝で戦いました。これがすべてのJリーグのチームに、かなりの刺激を与えたと感じています。もちろんACミランとの差は感じました。しかしそれは世界トップレベルのクラブチームと初めて本気で戦えたからこそ、感じられたことです。クラブチームレベルで世界一を目指すことが可能になったことで、今年以降、各チームのモチベーションが確実に上がることでしょう。

今シーズンも浦和、ガンバ大阪、鹿島アントラーズは、年末のクラブワールドカップに行くチャンスを持ってます。ただこの三つのチームはJリーグの日程といかにうまく付き合っていくかがポイント。もうひとつ言えることは、浦和はACL決勝トーナメントからの登場、この辺りも考えると今年もJリーグの中心は浦和になってくるでしょう。補強を見ても、高原、エジミウソン、梅崎、三都主など、ワシントン、小野が抜けた穴は痛いとは思いますが、それを補って余りある補強と言えるでしょう。さらにポンテが夏過ぎに戻ってくることを考えると、守備陣に大きな乱れがない限り、今年もJリーグ優勝争いの大本命です。

ガンバ大阪、鹿島アントラーズについては、当然ながらACL予選リーグからの登場。さらにガンバ大阪は2月にパンパシフィック選手権を戦いました。またプレシーズンから中心選手6人を代表チームに取られていることもあり、いいスタートが切れるかが注目です。しかし新加入ルーカスとバレーの2トップがうまく機能すれば、その辺りも問題ないでしょう。昨シーズン劇的な逆転優勝を飾り、天皇杯も制した鹿島は小笠原、本山、野沢といったMFが日本代表に呼ばれていないこともあり、今年も安定した力を発揮しそうです。この2チームにはJリーグはもちろんのこと、ACLも決勝トーナメントに残ってもらい、Jリーグ同士のACL決勝に向けて頑張ってもらいたいです。

この3チーム以外で優勝に絡んできそうなのは、もちろん川崎フロンターレ。昨シーズンはすべての部分で、タイトルまであと一歩という戦いでした。ACL準々決勝はPK戦でセパハンに破れ、ヤマザキナビスコカップでは決勝でガンバ大阪に、天皇杯では準決勝で鹿島にそれぞれ破れてしまいました。しかし下を向くことはありません。確実にチーム力はアップしていますし、過酷なスケジュールの中、どの大会にも安定した力を発揮したという点では、実り多き一年だったと思います。

もちろんタイトル獲得のため、足りなかった点もあります。

その足りなかった点を埋めるため、二人の即戦力を獲得しました。ひとりはレンタル移籍から戻ったフッキ。彼の得点能力に疑いの余地はありません。しかしJ1のDF、GKの力は、明らかにJ2よりは上。うまく周りの選手を使ってプレーすることが求められます。そのためにもコンビネーションの熟成がカギ。特にジュニーニョとのコンビに期待したいと思います。もうひとり即戦力はジェフから獲得した山岸。もともと左サイドが手薄なフロンターレとしては願ってもない補強。最後までトップフォームに戻れなかったフランシスマールの代わりに、昨シーズン左サイド支えた村上との併用で力を発揮して欲しい。守備的にスタートするなら村上。攻撃的に行くなら山岸というように。また彼は、さまざまなポジションに対応できるユーティリティー性もあり、これもフロンターレにとって大きな力になるでしょう。

チーム全体に話を移すと、求められるのはシステムのバリエーション。昨シーズンの取り組みで、得意の3バックに4バックというバリエーションは加わりました。しかし今年求められるのはMF、FWのバリエーション。MFは従来のウインバックを使った形以外にどういった形が持てるか、台形なのか、フラットなのか、ボックスなのか......。FWについては2トップ、もしくは3トップ、もしくは1トップ......。この中で最適な組み合わせが最低3つは欲しい。

できないことはない。中村、谷口、山岸、森、ジュニーニョ、フッキ、テセ、我那覇、黒津、大橋、原田、久木野、養父。これらの選手の中で3バックなら7人、4バックなら6人で構成されるMF、FW陣のバリエーションが最低でも3つは欲しい。今までの攻撃の形が研究されているのは、昨シーズンを見れば明らかなこと。もともと3-5-2というシステムは、研究され対面する相手がしっかり目の前の敵さえ抑えこめば機能すること難しい。大きな理由は、ポジションチェンジが少ないシステムだからだ。このシステムでフロンターレの攻撃が機能してきたのは、ジュニーニョという突破できるドリブラーがいることと、谷口という縦へのポジションチェンジができる選手がいることに他ならない。

もちろんこれまでのシステムが悪い訳ではないし、システムだけで勝負が決まる訳でもない。ただどんな相手、どんな状況においても対応できるシステムを持っていることは、大きな力となるはずだ。個人の力を生かしつつ、縦そして横のポジションチェンジを行いながら繰り出される攻撃は、どのチームにとっても脅威となるはず。強力なタレントを誇る、新生フロンターレの攻撃陣に大きな期待をしたい。

最後に。今年も僕は可能な限り、等々力競技場に足を運びたいと思います。

皆さんも、初タイトルに燃える選手たちの後押しを、どうかよろしくお願いします!

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