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2008年12月 アーカイブ

2008年12月10日

スカウトの目

プロ選手になるためには、最低でも2つの条件が必要。

その一つに、「特徴(武器)を持った選手であること」、自分の秀でてる特徴(武器)をどう伸ばすか、極めるかがポイントだ。技術をベースに身体的な特徴(スピード・高さ・強さ)を活かすこと。身体的な特徴がなくても、ドリブル・パス・シュート・一対一の強さなど、どれか一つでも極めることができればいい。もちろん、どれも必要だが全部もってなくてもいい。なぜなら、サッカーは11人でやるもの。人は十人十色、個性(性格)も違えば、プレーの特徴も違う。これらのいいところを集めチームがとして戦えばいい。

スカウトの仕事で試合を見て最近よく感じるのは、身体の小さい選手はスピードが絶対条件だ。走るスピードというのは、トレーニングしてもなかなか早くならないが、ボールを持ったときのスピードは、ドリブルのトレーニングを重なれば必ず早くなる。こういう選手は高校・大学の中でも活躍し、プロへ進む選手は少なくないのだ。

いろいろな指導現場を見たり、話しを聞いたりすると、ドリブルというのはネガティブに考えられているような気がする。Jリーグで活躍するパスを得意とする選手も、子供の頃からドリブルが得意で、今でもドリブルが出来るからパスが出せるのだ。子供のころから順番を間違えてパスばかりに意識させてトレーニングしてしまうと、手遅れになりプレーの幅も狭くなってしますのだ。いまでは主流となっているパスサッカーだが、原点はドリブルにあるのだ。

もっとドリブルをポジティブに考える必要があると思う。ドリブルには(逆をとること・間合い・駆け引き・タイミングの全てがドリブルに集約されている。そして、ドリブルのタッチ一つ一つがファーストタッチの精度を上げていくはずだ。その中で、個性を主張出来る選手、自分で考えて状況を打開できる選手、自分の限界にチャレンジし特徴を活かす選手になることが必要だ。

そして、サッカーは「感覚のスポーツ」だ。次にどうするか考えていたら戦えない。教えすぎると理屈っぽい選手になり、その場の状況に応じて判断できなくなる。サッカーには同じスチュレーションはない。相手・味方・グランド・天候・時間など全てが違ってくる。だからサッカーは面白いのだ。この状況に瞬時に身体が反応して動かなければ通用しない。


二つ目は、「人間性」である。自分の能力や地位におごることなく、努力しサッカーに対して純粋で素直であること、そして感謝の気持ちを持ち続けることが大切である。感謝の気持ちとは、いくら人に感謝の気持ちを持てと言われても身につくものだと思いません。自分で気づき感じたとき、はじめて理解できるものだと思います。

すでに来年の入団が内定しているGK安藤駿介選手(川崎フロンターレU-18)や登里享平(香川西)も技術だけでなく、人間性に長けた素晴らしい選手です。
内定おめでとう。そして、今後フロンターレの中心選手として活躍できる選手に育っていってほしいと思います。

2008年12月19日

ダノンネーションズカップ2

今回は、前回のコラムで書いた“ダノンネーションズカップ”で、僕自身が世界の少年サッカーを観て感じたことを書きたいと思います。

ダノンネーションズカップは、世界40カ国のチームが集まる世界大会で、組み合わせの関係上観られない国もありましたが、多種多様なサッカーが展開され、僕自身も色々勉強になりました。書きたいことはたくさんあるのですが、その中でも「世界と日本の“技術”・“戦術”の違い」に絞って書きたいと思います。

まず“技術面”ですが、世界の子供たちに比べると日本の子供たちの方が、ボールを非常に丁寧に扱っている印象がありました。止める・蹴る・運ぶといったプレーが“巧い”と感じましたし、技術レベルは高かったです。しかし、世界ではそもそも“技術”という定義が、日本とは違うとも感じました。
例えて言うと、日本ではリフティングやコーンドリブルなど自分の意図したところに止められたり、蹴れたり、運べたりする選手を技術が高い・巧いと言われがちですが、世界ではあくまで“ゲーム”、対相手がいる中でどういうプレーを選択するのか、同じ止める・蹴る・運ぶといったプレーが相手の状況によるものであったと感じました。

次に“戦術面”ですが、まずどこの国も非常に戦術的であったと感じました。特に今大会は、ダノンカップ独自のルールがあり、ゴールラインから13メートルの位置にラインが引かれ、そこから先(相手ゴールエリア)でないとオフサイドが適用されないルールであります。これにより、どの国々もFWをこのライン付近に張らせて、早めにボールを前線にフィードし攻めるといった戦術を行っていました。こういった戦術的な戦いは近年、日本でもよく行われていることだと思います。僕自身も色んな試合を観てきましたが、すごいなと、大人みたいなサッカーをする小学生のチームがあることに驚きもしました。しかし、逆にそのことに対する怖さも感じました。日本では、小学生の年代から細かいことまで教え、ポジショニングや、時にはそのチームの指導者に言われるがままのプレーを選択し、正解探しといったプレーが多く見られます。
海外のチームはというと戦術自体は非常にシンプルで、教えている印象もありましたが、それは基本的なことであり選手自身がゲームの中でチャンス・ピンチを感じて判断し、動いていたように感じました。
今大会は9人制でしたが、チャンスと感じたら、時にはポジションにこだわらず相手ゴール前に5・6人入ってくることもありましたし、戦術的な戦いの中にも“個人”を尊重し選手達自身がゲームを感じてプレーしていた印象がありました。

補足ですが、今大会優勝したフランスに関しては、非常に個々の能力・技術が高く、その上で戦術的な戦いをしていたと感じました。また、いわゆる強豪国にはストライカーの要素を持った選手がいて、能力・技術・動きの質が高く自分で勝負を決められる選手がこの年代でもいたのが印象的でした。また、“日本”という観点から見た場合、僕が思うのは、戦術が先行しすぎていて一番の基礎となるべく個人の力(個性)が失われているように感じます。今大会でもU-12の選手達が積極的にドリブルでチャレンジした場面がありましたが、能力や体格では劣る相手でも、ボールコントロールと一瞬の駆け引き(タイミング)で相手を翻弄し、そのプレーがチャンスに繋がり、ゴールに結びいた場面がありました。日本が世界に通じることを証明したプレーだと思いました。

なかなか書きたいことがまとまらず、伝わりにくかったかもしれませんが、日本の良さである“技術”(ボール扱い)をもっともっと“ゲーム”に生かす事を考えていけば、さらに世界に近づけるのではないかと僕は思います。
また、サッカーを伝えていく事と共に“選手自身”がゲームを感じられる環境づくりも指導者として大切なことではないかと思います。

このような素晴らしい経験を与えてくれた選手達を始め、たくさんの方々に感謝することと共に、この経験を無駄にしないよう僕自身も成長していきたいと思います。

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