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2008年07月 アーカイブ

2008年07月01日

僕が観たいサッカー

僕が観たいサッカー。それはどこのチームにも真似できない、観ている人達をドキドキさせるような魅力のあるサッカーだ。世界のクラブチームではバルセロナのようなチームがあるが、僕はこの日本で、しかも高校生にドキドキさせられてしまった。それは3、4年前の、全国高校サッカー選手権大会での事。僕はそのチームの魅力的なサッカーに、たちまち釘づけになってしまった。結局そのチームはそのスタイルを貫き、優勝する事となったが、僕はこのチームが表現するサッカーなら、お金を払ってでも観たいと感じた。

僕が高校時代、とてもよく似たチームに出逢った事がある。それは僕と同じ静岡のライバルチームだったが、ひそかに僕はそのチームのファンだった。スタメン半分以上が県選抜の強豪チーム相手に、ゲームを支配し、個人技で圧倒していた。そして選手達がプレーを楽しみ、自信に満ち溢れ、輝いていた。僕はこの両チームに同じものを感じる。それはプロ顔負けのテクニックを武器に、「個人の力」を重視したサッカーだ。特にドリブルにはこだわりを感じる。チャンスとみればドリブルで仕掛け、2、3人に囲まれても、慌てずにボールを運ぶ事が出来る。だからといってパスをしないわけではない。面白い事にこの両チーム、ボールを繋ぐのが本当に上手い。そんな彼らのプレーは、まるで必死に取りにくる相手を、楽しんでいるようにさえ見えた。僕はこのような感覚でプレーをしている選手達にドキドキしたのだと思う。そしてこの両チーム最大の共通点は、自分達のサッカースタイルに絶対の自信を持っている事だ。彼らが表現するサッカーを観ていると、「これが俺達のサッカーだ。君達にできるかい?」と云われているような気がしてくる。僕は自分のサッカー観は間違いではなかったという自信を、この両チームからもらう事ができた。

僕にとってのサッカーは勝つ事だけが全てではない。「表現する」「魅了する」「楽しむ」事もなくてはならないものだ。そのためにも他をよせつけないテクニックが必要不可欠になる。しかし、このサッカーを現実にするのはそう簡単な事ではない。あまりにも技術に特化しているため、当然批判も多いだろうし、敵も多くつくるだろう。しかしこのようなサッカーが実際にできる事を、高校生が証明してくれている。
僕が観たいサッカー。それはどこにも負けないテクニックを武器に、そのチームにしかできないサッカーを表現する。そして想像もできないプレーで観ている人々を魅了し、選手達が心の底からサッカーを楽しんでいる。

僕はいつの日か、このようなサッカーを選手達と目指したいと思っている。

2008年07月10日

U-16秋田国民体育大会 エピソード3

「秋田へいざ出陣」

いよいよ秋田国民体育大会が始まる。
私は選手たちより一足先に試合会場である秋田TDKグランドと宿泊先である鳥海荘をチェックする為に出発した。ジュニアユースのトレーニングが終わり川崎を出たのが午後9時近く、道のりは長いので途中山形で一泊して秋田に入ることにした。高速を走っているときに色々と考えた。トーナメントなので1発負けたら神奈川に帰らなければいけない。昨年の神奈川は2回戦で敗退したことを考えるとどうしても負けるわけにはいかない。必ず決勝まで行き優勝をして帰ってきたい。タレント的には申し分ない、戦術理解度も高い。とにかく彼らに伝えることは、常にポジティブにプレーすること、ポジティブにコミュニケーションをとること、100%の力を発揮すること。

この3つを伝えることに私は全力を尽くすと誓った。フロンターレ号(アルファード)は東北道を順調に北上した。この車は高速安定性が非常に高く運転していても疲れない、エンジンもパワフルでストレスを感じることがない。ロングドライブに最適な車だ。宮城県に入ったあたりから、普通車の数が減り、逆に大型トラックの量が増えてきた。都心で見る車より外見が派手。とにかくボディーのあちらこちらにイルミネーションが光り暗い高速道なのでひときわ目立っていた。車は順調な走りで東北道村田ICから山形自動車道に入り途中の山形北ICで降り一泊することにした。時間はPM11:45。ナビで調べて近くのビジネスホテルに泊まることにした。部屋に入り、疲れがどっと出たので、シャワーも浴びずにそのままベッドに入り熟睡。翌朝6:00に目が覚めて、暑いシャワーを浴び、一応ひげも剃った。その日は13:00から監督会議があるのでビシッとスーツに着替え、朝食を済ませ、秋田に向けてフロンターレ号を走らせた。山形自動車道の終点である酒田みなとICに到着。そこからは一般道。左側に日本海を眺めながら車は北上しやっとのことで秋田県に入った。片道の距離550km。途中のガソリンスタンドで給油した時にスタンドの若い従業員に「サッカーのフロンターレだ、何処にいぐ」と秋田弁でそのあとが何を言っているのか解からずに「わか杉国体に行くんだよ」と一言。「がんばれ」と励まされた。昔と違って今フロンターレは全国に名前が知られている。非常に嬉しいこと。私はこのクラブを誇りに思う。海岸線を走ること1時間。大会開催地である秋田県仁賀保市に到着。やはり国体とあって街のあちらこちらに大会イメージキャラクターのスギッチ人形、ポスター、旗などが飾ってあった。「いよいよ明日から本番が始まる」と私自身気合も十分。試合会場である秋田TDKグランドは敷地が広く、その中にサッカー場、野球場、テニスコート、室内プール、多目的広場などがあり。サッカー場は天然芝2面でコンディションも最高である。このピッチで選手たちがどんなパフォーマンスを披露してくれるか非常に楽しみだ。監督会議を終え宿泊先である鳥海荘に向かった。宿までの道のりは山を二つ越えなければいけないのでかなりの時間が掛かった。山の頂上まで来るとそこから観る日本海はイメージしていた荒々しさとはかなりかけ離れていて本当にすばらしかった。この景色を最後の決勝まで見たいと誓った。宿泊先に着くと選手たちが丁度到着したところだった。疲れた表情は無く、非常にリラックスした状態で各部屋に入っていった。

翌日14:00からのトレーニング、動きを見れば選手のコンディションが上がってきているのが解る、明日の愛知県とのゲームが楽しみだ。夜のミーティングでは選手に伝えたことは「君たちは神奈川の代表としてこの舞台に来ている、選ばれなかった選手たちが多くいる中で私は16名を選んだ、最高の選手たちを選んだ、だから君たちは必死になって戦わなければならない。サッカー人生の中で一つの通過点に過ぎないが、それを良くするも悪くするも君たち次第、色々な人たちが君たちを見に来てくれる。力を発揮できれば代表の道にも繋がる。だから悔いの無いように精一杯やるしかない。私は君たちを信じている。」と話した。

そして試合当日。私は先にグランドへ向け出発した。グランドに着くと多くのギャラリーがピッチの外を埋め尽くしていた。サッカーは本当に人気のあるスポーツである。試合開始まで90分。ミーティングの時間だ。私はあまり難しい話はしないシンプルに彼らが理解できるように話すだけ、彼らは話せば直ぐに理解し実行してくれるから。後は選手がピッチで考えてプレーしてくれる。アップも終わり試合開始まで10分。皆で手をつなぎ一つになった。9月30日、14時40分キックオフ、対戦相手は愛知県。試合開始から2分で相手ゴールキックからDFの小椋(川崎F)がヘディングで前線にフィード、相手のDFラインの裏にボールが流れ、すかさずそのボールを狙いダッシュしたFW榎本(横浜FM)がキーパーと1対1になり左隅に決めた。この大会は35分ハーフなので先制点が非常に大事。それを見事にやってのけた。そして神奈川の攻撃は続く11分にMF関原(横浜FM)からのパスを受けたFM榎本が2点目をゲット。さすが神奈川ナンバーワンのストライカーだ。23分に1失点を食らったが、全員はあわてることなくゲームを支配。後半20分にこの日3点目をFM榎本が決めハットトリック、そしてダメ押しは25分にMF小野(横浜FM)が冷静に決めて試合を決定づけた。

スコアは4-1の勝利。すばらしいスタート。しかし失点がカウンターからだったので、そこを修正しなければならない。2回戦目は、福岡県。この試合も前半からグランドを広く使い中盤を支配した、12分にMF小野が決め先制。17分に相手のファウルでPK。冷静にMF古林(湘南)が決め2点目。選手の中で余裕が見えてきた。嫌な予感がした。ゲームの中で味方とのパスミスが徐々に出てきて簡単なシュートも外し3点目が取れない状態。福岡県もあきらめずに貪欲にプレスを掛けてきた。「このままでは逆転される」と頭を過ぎった。
なんとか前半は2-0で折り返し。私はハーフタイムに選手に怒鳴った。「相手を甘く見るな、簡単なミスが多すぎる、これでは逆転されるぞ!去年もここで終わっている、お前らいいのか、こんなところで終わって、本当に上を目指したいのか、プロになりたいのか、そんな甘い気持ちでプレーしていたらこの先は無いと思え。」と選手はびっくりした顔で私を見ていた。

後半のスタート。やはり福岡県は前からプレスを掛けてきて1点を取ろうと必死できた。それをDF大和田(川崎F)、GK奥山(川崎F)を中心に必死で防ぐ。ポストに当たったりと危ないシーンもあったが、何とかこのゲーム2-0でものにすることができた。もしあの時に失点されたらリズムは完全に相手に変わっていたに違いない。本当に勝って良かった。夜のミーティングで選手たちに今日のゲームを分析してもらった。返ってきた言葉が「相手を完全に舐めていた」と。私は選手たちに「サッカーは11人でプレーするもの。1人でも欠ければ、そこから穴が空き、攻められ、失点される。そんな気持が全員であれば優勝どころか決勝に進むことすら出来ない。もう一度原点に返って考えてほしい。何のためにこの舞台に立つのかを」。

翌朝6時に目が覚めて、部屋の扉を開けると目の前の鳥海山の美しい景色が見えた。「今日の試合も必ず勝つ」と願った。相手は兵庫県。ガンバ大阪、ヴィッセル神戸などJ下部でプレーしている選手が多く、タレント的にもレベルが高い。この試合を勝つことで決勝が見えてくると思った。チーム一丸となって、戦っていきたい。

2008年07月20日

ベンチから見えるチーム力

先週(14日)のことになりますが、谷口(タニ)が北京オリンピック代表に選出されました。フロンターレでずっと結果を残しながらも、なかなかオリンピック代表ではチャンスをもらえない時期が続いていたのですが、選考レース終盤に来て一気に北京行きの切符をつかんでくれました。フロンターレにとって、これは本当にうれしいことですし、タニが北京で大暴れする姿を皆さんも期待しちゃいますよね。

僕も今回のオリンピックには、プレスとして現地へ行くことになっていますので、プレスとしてだけでなく、みんなを代表して応援してくることになります。そうした中で、自分のよく知っている選手がいるかどうかでだいぶ気分が違ってくるので、本当にタニが選ばれてくれて良かったです。もちろんタニがいると気軽に話しかけたりもできるだろうし、そういう面でも助かりますね。

タニも含めて反町ジャパンには大いに期待しているのですが、オリンピックという世界大会を迎えるにあたって、僕はサッカーの内容云々でなく、チームとして戦う姿を見せて欲しいと思っています。これはすなわち、どれだけチームとしてまとまるかということであり、いかに同じ目標を共有できるかということになるかと思います。

日本を代表してオリンピックに出場している選手たちが、まとまって戦えないはずがないと考える方も多いかと思いますが、現実には非常に難しいことなのです。思い返してもらえば、06年ドイツワールドカップでの日本代表にまとまりが無かったと感じた方も多かったでしょう。オリンピックにしても過去出場した大会では、そうした傾向が多分にあったと思います。僕自身の経験でも、フランスでの本大会は、その苦しみに苦しみ抜いた予選と比べると、そうしたチームのまとまりは落ちてしまっていたように感じました。

これには、チームとしての目標が個人の目標と一致するかどうかが大きく影響しているのではないかと思います。今回のオリンピック代表は、北京への切符をかなり苦しみながら獲得しました。なかなかチームのまとまりが感じられなかった予選序盤と比べると、サウジアラビアとの予選最終戦の戦いぶりは非常にたくましく、チームとしてまとまってきたなという印象がありました。これは、「どうしても予選を突破する」「北京に行きたい」という思いを、すべての代表選手が持っていたからこそで、チームも個人も「予選突破」が最大の目標になっていたわけです。

ですが、予選を突破して世界大会の本大会へと進むと、チームの目標が設定しづらくなります。実際に、もし監督が目標を「優勝だ」と提示しても選手は「現実的じゃないよ」と感じる可能性が高いし、グループリーグ突破という話になれば目標が小さい気がするしとなるわけです。それに加えて、選手にとって世界大会は、個人のアピールの場という意識も見られるでしょうから、チームとしてのベクトルを合わせるのが本当に難しいのです。

ただチームがまとまっていると言っても、何をもってまとまっているというのか、具体的にはわかりづらいことが多いかと思います。実際には、ピッチの中で声がよく出ていたり、ミスに対してのカバーが早かったりということに差が表れますし、基本的にはルーズボールへの反応が早い、攻守の切り替えが早いチームには、僕はチームとしてのまとまりがあると思っています。

ですが一番わかりやすいのは、実はベンチです。特に得点後のベンチの様子を見れば、チームの状態はよくわかります。先月行われたユーロ(欧州選手権)でも、優勝したスペインはもちろんのこと、ロシアやトルコなど躍進した国の得点後のベンチの喜びはすごかったですよね。過去の大きな大会でもダークホース的に躍進したチームには、必ずそういう姿が見られたと思います。

今回の北京では、日本は簡単ではないグループに入りました。ここから勝ち抜いていくには、チームが本当の意味でまとまって一枚岩になることです。ぜひタニのゴールでベンチが狂喜乱舞する姿を見たいし、たとえタニがピッチに立っていなくてもベンチで狂喜乱舞して欲しいですね。

2008年07月26日

コントロール

今回は、コントロールについて書いてみたいと思います。

コントロールを辞書で調べてみると、調整する・統制・制御するという意味があります。
コントロールとは、対自分力です。行動や考え方のセルフコントロール能力が大切です。
セルフコントロール能力の中には、決断力、忍耐力、曖昧力、規律力、瞬発力、持続力、冒険力、慎重力の8つがあると言われています。自分の思考と行動は変えることができます。自分の弱い力を確認し、意識してセルフコントロールしてみることが大事です。

サッカーの場合、「ボールコントロール」と「気持ちのコントロール」がとても重要だと感じています。気持ちのコントロールができることで、ボールコントロールが活きてきます。この二つのコントロールは、相互に作用しています。
なぜならば、自分のそのときの気持ちが鏡として、プレーやボールに表れるからです。イライラしているときは、冷静さを欠いたプレー(イライラしたプレー)になります。客観的に見ればすぐに分かるのかもしれませんが、プレーしている本人はあまり気づいていないのかもしれません。自分や仲間の失敗やミスは誰にでもあることで、そこで冷静にプレーできなければ悪循環になり、いいパフォーマンスは望めないと思います。そういう意味では、忍耐力、規律力、持続力、決断力などが必要となってきます。
私は、子供ころから冷静にプレーすることを常に心がけていました。例えば、相手にファールで止められたりしても、イライラすることはありません。それは、プレーをする喜びから無心で、ボールをおいかけていたからです。プレーをする喜びが、一つのモチベーションとなっていました。セルフコントロールするためには、モチベーションも重要な要因となってくると思います。

スカウトでの選手の選考基準の中にも、自分をコントロールできる選手であるか、ということを見ています。それは、セルフコントロールできる選手でなければ、なかなかプロでは通用しないからです。特にフロンターレのカラーにはあっていないと考えています。
個人的にもセルフコントロールでき、冷静にプレーできる選手が好きです。
それに加え、チームもゲームもコントロールできる選手になってほしいと思っています。これらのことを考えたとき、ボールコントロールだけでなく、トレーニングの中から気持ちをコントロールすることが必要となります。

気持ちが落ち着けば、ボールも落ち着き余裕も出てきます。自分に余裕がないと、ボールは落ち着きません。逆にボールが落ち着いてコントロールできるというときは、気持ちもコントロールできているということです。

フロンターレの下部組織のなかからもこのような選手が育ってくれればと思います。

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