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OB'sコラム

鬼さんと一緒

2007 / file04

鬼木 達
Oniki,Toru

市立船橋高校を卒業後、鹿島アントラーズに加入。1998年、当日JFLに所属していた川崎フロンターレに期限付き移籍。わずか1年で鹿島に戻るも、在籍中、サポーターから「川崎の宝」とまで呼ばれ愛された男は待望の復活。以来、無尽蔵のスタミナでピッチを走り回り、キャプテンとしてチームを強烈に引っ張る。現在、フロンターレ育成普及コーチとしてピッチを走り回る。
1974年4月20日生まれ、千葉県船橋市出身。

今年の夏は暑い日が続きましたね。
サッカーのような激しいスポーツはこの時期、本当に苦しいものです。

僕自身コーチになって初めての夏は、大変忙しく厳しいものでした。選手のように激しい動きはしませんが、グラウンドに出ている時間は現役の時より倍以上になりました。おかげで、顔は焼けているというより、焦げているように黒くなりました。

さて今回のコラムでは、半年間コーチとして小学生から高校生まで見て、共通して言える事がいくつかあって、その中の1つ「声」について書きたいと思います。

声を出すというのは、技術の1つだということです。そしてその声は個人にとっても、チームにとっても大きな武器になるということです。声の重要性というのを今の子供たちはいまいち把握していないように思います。
足先だけの技術にとらわれて、サッカーの基本であるボールを蹴る、止める、走る、そして声を出すということを忘れているように思います。これはプロの選手にも多く見られることですが、声を出していれば何事もなく済む場面で声を出せずにピンチをむかえたり、自分の狙いを味方に伝えられずミスになってしまったりと、本当にもったいない場面があります。

そしてもう1つ声を出せるか出せないかで、ポジションを失う可能性もあるという事です。例えば、スピードがあり技術もあるのに、声が出せないという理由でセンターラインを任すことができないこともあります。意識せずにいつも声をかけている選手もいれば、意識していても声に出せない選手もいます。これは簡単のようで一生克服できない人もプロの選手の中にもいます。だから声を出せるというのは今の時代にとって非常に武器なのです。

先日、本田泰人の引退試合に参加したとき、現ブラジル代表コーチのジョルジーニョと夕食で1時間以上サッカーの話をしました。その中でも声の重要性を話していました。声でカバーできる場面でその声が出せないと言っていました。声を出せない人が増えているのは日本だけではなく、サッカー大国ブラジルでも問題になっているようです。だからこそ、これからの時代で声を出せるというのは、個人としてもチームにとっても大きな武器なのです。

自分はキャプテンじゃないからとか、自分はタイプ的にプレーで見せるからとか、そういう問題ではないのです。声を出すというのは個人の技術なのです。だからこそ今の子供達にはもっと意識をしてほしいのです。声の種類も様々で、指示の声はチームを助け。励ましの声はチームに勇気や集中力を与えてくれます。

サッカーがチームスポーツである以上、声というのは欠かす事のできない技術の1つだと僕は考えています。

2007年09月01日 鬼木 達

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