モバイルフロンターレ

OB'sコラム

鬼さんと一緒

2008 / file02

見えない差

鬼木 達
Oniki,Toru

市立船橋高校を卒業後、鹿島アントラーズに加入。1998年、当日JFLに所属していた川崎フロンターレに期限付き移籍。わずか1年で鹿島に戻るも、在籍中、サポーターから「川崎の宝」とまで呼ばれ愛された男は待望の復活。以来、無尽蔵のスタミナでピッチを走り回り、キャプテンとしてチームを強烈に引っ張る。現在、フロンターレ育成普及コーチとしてピッチを走り回る。
1974年4月20日生まれ、千葉県船橋市出身。

今回のテーマは「見えない差」です。
言葉の通り、目に見える体格、フィジカル、技術の差ではなく頭の中。感じる力や、考える力の差です。僕はこの目に見えない部分の差がスポーツ選手には大きく影響していると思います。

僕自身、学生のときから現役を終えるまで、どれだけサッカーのことを考えてきた方というと、疑問は残るが、常にアンテナは立てていたように思う。自分とは別の選手が指導を受けているときも自分のことのように感じ、いち早く理解し実行しようと考えていたし、選手同士の会話からも一番良い方向を見つけて行動しようとしていたと思う。そしてテレビやビデオなどから得た情報からは、自分の能力でできるプレーか、それとも能力的に厳しいのかなど、自分なりに理想のプレーヤーと現実の自分を考えながらトレーニングをしていたと思う。

小学生のときにはマラドーナに憧れていたが、現役を終えるときには、チームメイトにガットゥーゾといわれ、理想と大きく変わってしまった。(笑)でも自分の力を存分に発揮できる形を選手は、自分自身で気づく必要があると思う。
そのためにも、やはり感じる力、考える力は必要になってくると思う。個人としての自分、チームの中の自分、日本、世界から見た自分といったように周りとの比較も考えられると、より良い選手に繋がると思う。大人も子供も一日にサッカーができる時間、体を動かすことのできる時間は、それほど変わらない。
しかしサッカーのことを考えている時間というのは、人それぞれ大きく違うと思う。昔ジーコが24時間サッカーを考えろと言っていたことを思い出すが、人と差がつくのはこの部分が大きいように思う。

僕は指導者になってから、現役のときよりサッカーについて考える時間が増えた。選手のときに、もっともっとサッカーで頭の中をいっぱいにしていればプレーの幅は広がったと今更ながら思う。
トレーニング一つをとっても、そのトレーニングの意味をもっと深く感じられたと思うし、トレーニングが単なるトレーニングで終わらず、ゲームをイメージしながらできたと思う。ゲームの中でも相手のシステムの特徴を理解していればもっとサッカーを楽しめたと思う。
だから今サッカーをしている人達には、トレーニングはもちろんサッカーを勉強してほしい。体ではなく、頭の中でトレーニングに励んでほしいと思います。人には見えない頭の中で人一倍、努力してほしいと思います。それが自分の自信に変わり、人と見えない差を生み出してくれるのだと僕は思います。

最後に前回のコラムで、フロンターレジュニアチームについて触れましたが、彼らが一年間目標にしてきたダノンカップに優勝し、フランスで行われる世界大会に参加することが決定しました。本当におめでとう。
俺もフランスに行きてぇー…

2008年04月10日 鬼木 達

>ページのトップへ