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OB'sコラム

球蹴り〜玉置晴一〜

2007 / file03

試合の観方

玉置晴一
Tamaoki,Seiichi

愛媛・今治工高を卒業後、川崎フロンターレに加入。 精度の高いパスを繰り出すレフティーも、故障に泣き、わずか3年で惜しまれつつ現役引退。 2005年にスクール担当コーチとして待望のフロンターレ復帰。 現在、U-12コーチとして、持ち前の明るさを武器に子供たちを引っ張り、未来のフロンターレ戦士の育成に邁進する。 1982年4月26日生まれ、愛媛県今治市出身。

今回は、『試合の観方』について書きたいと思います。

最近よく思うことなのですが、“サッカーをする子ども”の人口は年々増えているようですが、“サッカーを観る子ども”の人口は減ってきているのではないか?また、観てはいるが集中してサッカーの試合を観られる子が減ってきているのではないか?と思うことがあります。

等々力でも多くの子供たちを見かけますが、競技場内を走り回って遊んでいる子や、座っていても友達同士で話している子、目の前で素晴らしいトップチームの試合が行われているのにも関わらず、サッカーはそっちのけでほかの事に興味を示してしまっています。このコラムでも書きましたが、「子供だから…。」で終わらせてしまっては、非常にもったいない気がしてなりません。

近年では、様々な試合を観られる環境にもあります。Jリーグはもちろん、海外のサッカー中継、今ではインターネットでもサッカーの試合が観られるようになりました。自分が子供の頃に比べたら考えられない状況です!まぁ僕は愛媛出身なので、当時は愛媛FCもJリーグに加盟していなくて生の試合を観ることは中々なかったのですが…。

では、なぜこのような素晴らしい環境にあるにも関わらず、試合を観る子が少なく、観てはいるが集中できない子がいるのでしょうか?また、どうすれば子どもは、サッカーを観るようになるのでしょうか?

僕は、試合の観方を少し変えるだけで、サッカーの試合に興味を持ったり、今より何倍もおもしろくなるのではないかと思います。

僕はいつも試合を観る時には、必ず観るポイントを決めます!例えば、チームの戦い方。どんな攻め方をして、どんな守り方をするのか。ボールをテンポ良く回しながら攻める、前線にロングボールを早めに入れて攻める、前からどんどんプレッシャーを掛けて奪いに行く、少し引いてスペースを消しながら守る、など。それぞれチームによって戦い方は様々です。他には、個人を観ます。ボールを持った時はどんなプレーをするのか、またボールを持っていない時にはどんな動きをして何を観ているのか、など。他にもたくさん観るポイントはありますが、このように試合をただ観るのではなく、何か『テーマ』を持って観るだけで、試合の感じ方が全然違ってくると思います。

U-12でも、ミーティングで様々な試合を見せていますが、僕はいつも「今日はこういうことに注目して観てみて」と何かテーマを与えます。そうすることで、「あっ!今この選手こんなことしてた!」など、子ども達から色々な考えや反応が返ってきて食入るように観ています。

これから子どもと一緒に試合を観る時には、お父さんやお母さんが試合の観方を少し変えて、子どもに何か投げかけてみて下さい。きっと、今までとは違った反応が返ってくると思います。

それからもう一つ!通な人はお解かりかもしれませんが、TVではボールを中心に映しているので、それ以外のところでの、おもしろい場面がなかなか観ることができません。是非!等々力競技場に足を運んで生の試合を子どもに観させてあげてください。TVとは違った面白さがあり、興味を持ったり、色々なところを集中して観ることで、子どものプレーのイメージや、アイデアも広がってくると思います。

2007年08月01日 玉置晴一

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