モバイルフロンターレ

OB'sコラム

球蹴り〜玉置晴一〜

2008 / file02

経験 〜 成長

玉置晴一
Tamaoki,Seiichi

愛媛・今治工高を卒業後、川崎フロンターレに加入。 精度の高いパスを繰り出すレフティーも、故障に泣き、わずか3年で惜しまれつつ現役引退。 2005年にスクール担当コーチとして待望のフロンターレ復帰。 現在、U-12コーチとして、持ち前の明るさを武器に子供たちを引っ張り、未来のフロンターレ戦士の育成に邁進する。 1982年4月26日生まれ、愛媛県今治市出身。

今回は、2ヶ月前の春休み中に行われたU-10の「熊本遠征」・U-12の「ダノンネーションズカップ」この2つの大きな大会を通じて、僕自身が感じたこと、またその後子供たちに見えた変化について書きたいと思います。

それは、改めてというか…やはり子供たちは様々な経験を通して成長していくものなのだなと感じたことです。
まず、僕が担当しているU-10では熊本県で行われる、九州各地から26チームが集まる大きな大会に参加してきました。相手は全チーム5年生、3・4年生で参加した子供たちにとっては希少な経験です。また、親元を離れての団体行動もその一つと言えます。

そんな大会中に様々な出来事がたくさん起きました。初日の夜にある一人の子が部屋でふざけていて肘に怪我を負ってしまったことに始まり、「自分でできることは自分でやろう」の趣旨で、チームの荷物を子供たちで管理するようにしているのですが、ユニフォームなどを宿泊先のホテルに忘れてきたり、普段(家庭で)から努力はしていると思うのですが食事が思うように食べられなかったりと…子供たちにとって、普段気にすることの無いことまで“考えて行動する”ことはとても辛い経験だったと思います。

さらに、大会の最終日はもの凄い雨と風で気温が低く、僕たちスタッフもあまり経験したことの無い寒さの中での試合でした。すると子供たちは、次第に試合に対するモチベーションが下がり、「最後の試合は出たい選手が出ろ」とあえて厳しい言葉をかけたのですが、“じゃんけん”で決め勝った子は複雑な表情を浮かべていました。(笑)しかし、そんな状況の中最後まで真剣に戦った子供たちは本当によく頑張ったと思います。

この大会を通して子供たちは色々な失敗をしました。真意が伝わったかどうかはわかりませんが、僕も怒ったりもしました。しかし、子供ですから“出来ないことがあって当たり前”というのは常に思っていますし、同じ失敗を繰り返し時には怒られることもありますが、このような失敗という経験から何かを学んで次へ生かしてもらえればそれで良いと思っています。

次にU-12が参加した「ダノンネーションズカップ」ですが、Jリーグの下部組織20チーム・東京都ブロック選抜16チームの計36チームが集まり、なんと!優勝チームはFIFA公認のフランス世界大会へ日本代表として参加できるという、小学生年代で唯一「世界」が経験できる大きな大会です。そして川崎フロンターレU-12は、見事!"優勝"を果たしました!

実は前記した熊本遠征へ行っていたときに行われていまして、この大会を観ることはできませんでした。遠征から帰って来て保護者の方から頂いたVTRを観ました。正直、ゲーム内容や技術的にもまだまだ足りないところはたくさんあるなと思いました。しかしそれで当然ですし、この年代で完成されるわけでもありません。ただ、決勝でPK戦の末、優勝が決まった瞬間に流していた子供たちの涙を観ると、VTRとはいえ僕自身感極まるものもありましたし、子供たちは本当に良く頑張ったと思います。また、U-12"一期生"の彼らが成し遂げたこの成果は本当に素晴らしいことだと心から思います。

これから子供たちは「世界」に触れることになり、この年代で国際大会を経験できることは、彼らにとってかけがえのない財産となるでしょう。是非、子供たちにはこの国際大会でたくさんの経験を得て欲しいなと思います。

その後、U-10・U-12の子供たちは共に、またひとまわり大きく・強く成長したなと思います。一人一人が意識高く練習に取り組んでいますし、これも様々な経験を得てのことでしょう。これからも、喜び・悲しみ・苦しみ・楽しみ・時には失敗をして怒られることもありますが、様々な経験を通して日々成長していって欲しいなと思います。

2008年06月01日 玉置晴一

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