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OB'sコラム

Tatsuru'sチェック!

2005 / file08

裸足!

向島 建
Mukojima,Tatsuru

1966年1月9日静岡県生まれ。静岡学園高-国士館大-東芝を経て1992年清水エスパルス入団。1993年Jリーグオールスター戦出場。1997年川崎フロンターレへ移籍。以来2001年の引退まで要衝としてチームを支える。2002年から川崎フロンターレフロントスタッフ。2003年にはフットサル日本代表候補に選出。「SUKISUKI!フロンターレ(iTSCOM)」やサッカースクール・サッカー教室・講演・フットサル解説など川崎のサッカー伝道師として多方面で活躍中。

日本では、Jリーグ開幕前から既に多くのブラジル人選手がプレーしている。
我が川崎フロンターレでもこれまでに30人を超えるブラジル人選手が在籍していた。
サッカー王国ブラジルは、世界各地に選手を輩出し、チームの軸として活躍している選手も多い。なぜサッカーといえばブラジルなのか?ブラジル人はなぜサッカーが上手いのか?

W杯に5度優勝している実績や古くからの歴史、日本とはまったく反対に位置する国で、気候や環境や文化の違い、国民性など日本にないものがたくさんある。
ブラジルは才能溢れる選手の宝庫だ。今世界でもNo1と言われるスタープレーヤー、ロナウジーニョは子供の頃から路上で「裸足」でサッカーをしていたそうだ。

ブラジルといえば、攻撃的サッカーで、なんといっても個人技の高さだろう。サッカーでは、戦術やシステムなど大切なことはたくさんあるが、最終的には個人技に行きつく。個人技を高め、能力が高い選手の多い集団をつくることがレベルを上げる。

ブラジルの子供たちは、小さい頃に裸足でボールを扱っていた経験から、タッチをより敏感に感じとり、よりフィット感が増す感覚を味わっているため、ボール扱いが優しく柔軟で自分の思い通りにプレーできる。また、砂浜であったり、泥でぬかるんでいるグラウンドであったり、アスファルトの硬いピッチであっても走ったり止まったりするときには、滑らないように転ばないように足の指で地面をつかむようにする。小さい頃から足で地をつかむ感覚が自然と養われていたため、大人になって靴を履いても、足が動く感覚は同じだ。地面を蹴らないようにボールをしっかりと捉え、バランス感覚や強靭な足腰を身につける。

ブラジルの子供たちは、プロ選手の試合をスタジアムやテレビで見たあと、路上で自分たちのルールの中、裸足で憧れの選手たちになりきり、テクニックを真似し、楽しみながらプレーしている。例えボールがなくても、歪なボロ布をボールにしてでもプレーする。そんな中で、自然にサッカー選手になる要素を見につけて行く。ボールタッチなどプレーの感覚やゲームの駆け引き、勝負に対してこだわり、楽しみながら将来の夢でもあるサッカー選手を目指す。

日本の子供たちとは、環境の面で大きな違いがあり、路上で、裸足でサッカーをすることは難しい。足が痛くなるような場所でわざわざサッカーをすることはない、裸足で足が痛くなるまでボールを蹴る必要もない、足が冷えるまで裸足でいる必要はない。しかし、小さい頃から裸足でボールリフティングなどのボールコントロールを重視することは、サッカー選手として重要な要素を養うことができる。また、家で靴下やスリッパで過ごしているより、できるだけ裸足で生活することを心がけることで健康増進などのいい効果も得られるのではないか。

ふと見ると靴下を履くのを嫌がり脱ぎ捨てている我が家の息子。「裸足」は自然な状態であり大切なことだと感じ、チェック!してみた。

2005年04月06日 向島 建

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