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2005 / file18

11人の仲間!

向島 建
Mukojima,Tatsuru

1966年1月9日静岡県生まれ。静岡学園高-国士館大-東芝を経て1992年清水エスパルス入団。1993年Jリーグオールスター戦出場。1997年川崎フロンターレへ移籍。以来2001年の引退まで要衝としてチームを支える。2002年から川崎フロンターレフロントスタッフ。2003年にはフットサル日本代表候補に選出。「SUKISUKI!フロンターレ(iTSCOM)」やサッカースクール・サッカー教室・講演・フットサル解説など川崎のサッカー伝道師として多方面で活躍中。

先日、ファン感謝デーが行われ、楽しい時間をサポーターと過ごしたかと思えばそれも束の間、J1リーグ(第13節~)が再開した。中断してから御殿場ミニキャンプで修正点を中心にトレーニングを行い、7月2日のジュビロ磐田戦を迎えた。7月23日までに6試合を行う過密なスケジュールだが、条件はどのチームも同じだ。関塚監督が話していたように、勝ちきれる安定したチームを目指し戦っている。

以前にもいくつかのコラムに掲載したこともあるが、私が清水エスパルスの一員として、Jの初舞台のグランドにこれから立とうとしたとき、ロッカールームで当時の監督が言った言葉があるので紹介する。『グランドに、エスパルスの仲間は11人いる。この試合で全員調子がいいことは、まずありえない。例えば、1人調子の悪い選手がいたとする、それは残りの10人でカバーすればいいじゃないか!2人調子の悪い選手がいたとする、それは9人でカバーすればいいじゃないか!3人調子の悪い選手がいたとする、8人でカバーすればいいじゃないか!それがチームというものであり、11人で行うサッカーの素晴らしさなんだ。1人の選手が相手にかわされた、「なに抜かれてるんだ!」ではなく、「俺に任せろ!お前のカバーしてやるよ!」という気持ちを全員が持ってプレーすることができれば、チームは一つになれる。なぜなら、自分も調子の悪いときが必ずあるはずだから…』

この言葉が、緊張や不安、これからグランドに立とうとしている自分をどんなに楽にしてくれたことか今でもはっきりと覚えている。選手が少しでもこのような気持ちになれれば、心配することなく自信をもってグランドに立つことができ、いい結果につながると思う。また、サッカーは1対1の局面での勝負が最終的には重要になるが、様々な状況があって、他の選手(チーム)なくしてはその局面には至らない。サッカーは一人ではできない、お互い助け合うチームスポーツであるということを監督の言葉から再認識できた。

HOT6の初戦磐田戦では、ボールを支配され押し込まれながらもカウンターから少ないチャンスをものにした。磐田はチームとしても多くの優勝実績があり代表選手など優れた選手が多い。しかし、フロンターレの選手たちは個人だけではなくチームで戦い勝利した。お互いが助け合いひた向きにボールを追いかけ11人が一つになった。磐田よりはるかに全員で勝ちたいという気持ちが勝っていた。

これから過酷な暑い時期がやって来て、疲労からくるケガや警告の累積による出場停止でメンバーが入れ替わることもある。1シーズン制になったことで、総合力が重要視されてくる中で、チームワークが鍵になってくる。例え苦しい状況になったとしてもバラバラになって崩れず、慌てない冷静なチームでなければいけない。自分を信じて、チームメートを信じて、それにサポーターを信じて…

「グランドの中にはフロンターレの仲間が11人もいる、そして、グラウンドの外にも共に戦ってくれる仲間がいる」ことを忘れないで戦ってほしい。

2005年07月06日 向島 建

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