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2007 / file02

センス!SENSE!

向島 建
Mukojima,Tatsuru

1966年1月9日静岡県生まれ。静岡学園高-国士館大-東芝を経て1992年清水エスパルス入団。1993年Jリーグオールスター戦出場。1997年川崎フロンターレへ移籍。以来2001年の引退まで要衝としてチームを支える。2002年から川崎フロンターレフロントスタッフ。2003年にはフットサル日本代表候補に選出。「SUKISUKI!フロンターレ(iTSCOM)」やサッカースクール・サッカー教室・講演・フットサル解説など川崎のサッカー伝道師として多方面で活躍中。

最近、Jリーグや高校・大学の試合に限らず、様々なカテゴリーの試合を観るように心がけている。
小学生などのジュニア年代からスーパースターが活躍する海外プレミアリーグまでも、どんなレベルで選手たちがプレーしているのかを把握していたいことや、それぞれのカテゴリーで選手たちが自分自身のプレーにおいてアイデアやパーソナリティなど何か際立っているものや人とは違う感覚を感じさせてくれるか?それぞれのカテゴリーにおいて魅力あるプレーを観てみたい、将来性を感じる選手を観てみたいからだ。これらはスカウトという仕事柄かもしれないが特に最近興味があることで、個性ある選手が出て来てくれることを心から期待している。

指導者は、子供たちがサッカー選手として成長できるよう、日頃から練習方法を考え熱意ある指導を心がけていることもあり、優れた多くのいい選手が育っていることは間違いない。
しかし、同じ指導を受け、同じ練習をしたいい選手たち全てがプロになれるわけではない。いい選手でもプロになれない可能性もある。例えば同じレベルの2人のいい選手がいるとする、同じ筋力があって同じ強さで正確なキックを蹴れる技術を持っていて、同じ柔軟性があり同じドリブルの技術を持っていて、同じ走る速いスピードを持っている、というように2人いい選手がいても、プロになれるかなれないかの明暗が分かれることがある。

それは何かというと、人間性であったり、メンタル面であったり、自己管理であったり、様々な理由が考えられるが、センス(美的感覚・感性…)というものも上のレベルに行くための必要な要素であるかもしれない。一流と言われる選手は誰から見てもセンスが感じられ自分のスタイルを持っている。

センスのいい人は、自分のことをよく知っていて、自分の良さを出し自分に似合うことをする。
例えば服装なら、自分に似合うものを身につけ着こなしていくことで、自分なりのスタイルをつくっていき、他人からもセンスある着こなしと思われるようになる。いくら高価な高品質なブランド品を身にまっとっても自分に似合っていなければ見た目も悪くアンバランスで格好悪い。サッカーでいうと自分の特性を活かすために似合ったプレーを心がけ、試合でチャレンジしていくことで、良さが発揮され身につき、自然と自分なりの似合ったプレースタイルが出来上がる。

実際にセンスといってもセンスは他人によって評価され感じ方は人それぞれ異なり、言い表すことがとても難しいものだ。センス(美的感覚・感性…)は、幼少時代から絵を描いたり、本を読んだり、音楽を聴いたり、物を作ったり、自然を体験したり、旅行や遠征など環境の違う場所に行ってみたり、様々なことを実際に体験・経験してきたことにより、見たものを自分はどう感じたかで感性が磨かれていく。微妙な感覚、物事の感じや味わいなど微妙な点まで悟り、物事を心に深く感じ取り「こうしたい!」などと自分自身が思えることが大切だ。

本当にサッカーが好きかどうか?上手になりたいか?勝ちたいか?でセンスがあると呼ばれる選手になると言っても過言ではない。それには指導者もセンスがなければいけないし、選手の性格や特徴をしっかり見抜いて、活かしてあげられるポジションに配置するなど、特にジュニア年代では形にはめ過ぎず伸び伸びチャレンジさせてあげられる指導が大切になる。
厳しさも時には必要かもしれないが、褒めて褒めて楽しませてあげたい。何よりもサッカーを楽しめなければセンス(美的感覚・感性…)ある選手にはなれない。誰からも「あいつはセンスがいい!」と感じさせられるようなセンスある自分のスタイルを持った選手が出てきて、美しく激しいサッカーを繰り広げてほしい。サッカーを楽しむのは、監督や選手だけではなく観客も楽しむものだから。

2007年06月20日 向島 建

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