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OB'sコラム

ヤス、翔ける

2007 / file02

自分のテーマ

長橋康弘
Nagahashi,Yasuhiro

東海大一中、静岡北高校、清水エスパルスと歩み、1997年、当時JFLに所属していた川崎フロンターレに加入。川崎フロンターレに所属して10年。ドリブル突破が魅力のクラブの歴史に残る右サイドの職人。現在、フロンターレ育成普及コーチとして子供たちの未来を背負う。
1975年8月2日生まれ、静岡県富士市出身。

現役時代にいつも自分のテーマにしていた事は、サッカーを楽しむということです。

楽しんでいる時はどういう時か、どうしたら楽しめるかを常に考えてきました。サッカーを楽しく感じるときは、当たり前なことですが、やはりうまくいっている時です。思い通りのプレーができたりしているときは、自然とアイデアもいつもより多く出てきたりもします。
しかしそんな時ばかりではありません。うまくいかない時は、悪いイメージが先に出てきてしまい、ミスをこわがりプレーが小さくなってしまいます。このような状況では楽しめるはずがありません。

そんな時に大事になってくるのは自信を持つという事だと思います。たしかに自信を持ってプレーしている時は、一つ一つのプレーに迷いがないし、なによりサッカーを楽しんでいた気がします。ただ自信を手に入れる事は、自分は簡単な事ではありませんでした。練習で出来ない事は試合では出来ないし、出来たとしてもそれはたまたまです。運は実力ではないと思っていたので、まず練習で力をつけて、自信をもって試合に入れるように心がけていました。それでも満足できる試合は一試合もありませんでした。

自分にとってサッカーを楽しむという事は、簡単なようで、とても難しいものでしたが、世界には見ている人まで楽しませてくれる選手がたくさんいます。そのような選手に共通していえる事は、自分にしかない武器を持っているという事です。ボールをまるで手で扱っているような技術を持っている選手や、敵を一瞬で置き去りにするスピードを持った選手、誰も予想のつかないアイデアを持っている選手、他にもいろいろな武器を持った選手がたくさんいますが、すごいと思うのは、その能力を持っている事はもちろん、それを試合で表現できる事です。当然まわりからの期待も凄いものだと思うし、想像のつかない様なプレッシャーの中でプレーしていると思いますが、この様な状況の中で自分の能力を出すには、相当な自信と勇気が必要だと思います。試合で自分を表現するには、サッカーの技術以外にも、自分をコントロールする強い気持ちも必要な能力だと思います。

自分は今、プロを目指す小学生たちを教えていますが、すばらしい技術を持った子がたくさんいるし、純粋にサッカーを楽しんでいます。しかし、これからいろいろな経験をしていく中で、責任などを感じながらプレーするようになり、ただサッカーを楽しむ事が難しく感じたりするかもしれません。そんな時のために、今から自分の武器を見つけて、誰にも負けないと思えるまで、その武器を磨き続けてほしいし、自分をコントロールする力も学んでほしいと思います。

プレッシャーに負けず、自分の武器が試合で通用したとき、今までに感じたことのない楽しさが、待っていると思います。

2007年05月10日 長橋康弘

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