モバイルフロンターレ

OB'sコラム

ヤス、翔ける

2007 / file03

魅力のあるサッカー

長橋康弘
Nagahashi,Yasuhiro

東海大一中、静岡北高校、清水エスパルスと歩み、1997年、当時JFLに所属していた川崎フロンターレに加入。川崎フロンターレに所属して10年。ドリブル突破が魅力のクラブの歴史に残る右サイドの職人。現在、フロンターレ育成普及コーチとして子供たちの未来を背負う。
1975年8月2日生まれ、静岡県富士市出身。

最近のサッカーを見て感じることは、一つのミスが失点につながる緊迫感のある試合が多く、サッカーのレベルが上がっているという事です。

しかし、チームや個人の特徴が見えにくいのも事実です。対戦相手の良い所を消しあい、リスクの高いプレーは避け、勝負にこだわる試合が多いように思います。見ていて面白いかは、人それぞれだと思いますが、個人的には、特徴がぶつかりあう攻撃的なゲームが見ていて面白いと感じます。

自分は、プロに入ってから引退するまでに15人の監督に出会いました。
それぞれの監督にそれぞれの考え方があり、同じサッカーでもいろいろなやり方がある事を知りました。

その中で、自分が共感できたのは、相手の戦術に対応する、負けないサッカーよりも、自分達から点を奪いにいくような、勝ちにいくサッカーです。失点をしなければ負けることはないという考え方と、点を取らなければ勝てないという考え方では、プレーがまったく変わってきます。

もともと攻撃が好きな自分にとって、勝ちにいくサッカーはとても楽しく、充実していたのを覚えています。しかし、このサッカーの場合、リスクも伴います。チャンスと判断したら人数をかけて攻めるために、速攻で失点される場面が多く、危険と隣り合わせでした。とても勇気のいる戦術でしたが、プレーをしていてとても楽しく、「魅せる」事も意識したサッカーだったと思います。
≠ そしてなにより、監督に自分達の力を信じてもらえていたことを、とてもうれしく思いました。監督が選手の力を信用していなければ、この戦術は選ばなかったと思うし、結果が出ない時もこのやり方を貫いた監督に、強い意志と信頼を感じました。

やはり、プレーしている選手が楽しみ、魅力のあるサッカーで勝つ事が理想です。プロである以上、結果を出さなければなりませんが、そのために理想を捨ててはいけないと思うし、見ている人達が又見たいと思ってもらうのも、僕は大切な事だと思います。

2007年07月10日 長橋康弘

>ページのトップへ