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OB'sコラム

ヤス、翔ける

2007 / file05

僕が感じる世界との違い

長橋康弘
Nagahashi,Yasuhiro

東海大一中、静岡北高校、清水エスパルスと歩み、1997年、当時JFLに所属していた川崎フロンターレに加入。川崎フロンターレに所属して10年。ドリブル突破が魅力のクラブの歴史に残る右サイドの職人。現在、フロンターレ育成普及コーチとして子供たちの未来を背負う。
1975年8月2日生まれ、静岡県富士市出身。

TVでよく見る世界のスーパープレー。
あのようなプレーは失敗を恐れていては出きません。

僕自身、練習でなかなか成功しないプレーがたまに試合で成功したり、一瞬のひらめきでやったことのないようなプレーが出てきた時、全身に鳥肌が立つような幸せを感じます。
若い頃に何度かありましたが、年を重ねるたびにそのプレーは減っていきました。だんだんと確実なプレーを選んでしまうようになり、いつのまにか、チャレンジするプレーより、手堅いプレーを選ぶようになってしまいました。

引退してまだ一年も経ちませんが、失敗を恐れず、チャレンジするプレーを数多くできたらどんなサッカー人生だったのかと、ふと考える時があります。
このような経験から世界で活躍する選手との違いを僕なりに考えてみました。

世界の選手を見て感じる事は、やはりチャレンジするプレーが多いという事です。それは決して自分勝手ではなく、チームのために判断したプレーです。難しいプレーほど成功する確率は低くなりますが、それがチームのためなら迷うことなくプレーしています。
この判断こそが世界との違いだと僕は感じます。良いアイデアがあっても、それをやってみなければ良いプレーは生まれません。これは選手だけの問題ではなく、指導の仕方にも原因があると思います。

指導者が失敗した事ばかりを選手に言い過ぎたり、プレーの制限を多くしてしまえば、チャレンジするプレーはもちろん、発想まで奪ってしまう可能性があります。このような事から今教えている子供達には、まずチャレンジしたプレーに対し、それがミスであってもなるべく誉めるようにしています。それと得意なプレーはどんどんやってほしいと言っています。失敗したプレーばかりを反省するのではなく、成功したプレーが、何故成功したのかをもっと考えてほしいと思っています。

僕は以前ある指導者から、良い選手とはミスの少ない選手だと聞きました。確かに僕もそう思いますが、選手によっては、ミスをしないために確率の高いプレーばかりを選び、自分のアイデアを出せず、気付いた時には決まった事しか出来ない選手になってしまう可能性があります。それぞれの選手が感じている責任や、チームの戦術の中でも、ミスを恐れず自分の判断でプレー出来る事もとても大切な事です。

このような考え方がはたして正しいのか、正直僕には分かりませんが、選手達には、指導者に作られた選手ではなく、自分が目指す選手になってほしいと思っています。それが幸せなサッカー人生につながると僕は信じています。

2007年11月10日 長橋康弘

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