モバイルフロンターレ

OB'sコラム

ヤス、翔ける

2008 / file04

世界をめざせ

長橋康弘
Nagahashi,Yasuhiro

東海大一中、静岡北高校、清水エスパルスと歩み、1997年、当時JFLに所属していた川崎フロンターレに加入。川崎フロンターレに所属して10年。ドリブル突破が魅力のクラブの歴史に残る右サイドの職人。現在、フロンターレ育成普及コーチとして子供たちの未来を背負う。
1975年8月2日生まれ、静岡県富士市出身。

U-10のコーチについて一年半。選手たちの成長の早さに、とにかく驚かされる近頃だが、当初からとても気になっている事がある。それは10歳にして早くも組織的なサッカーをしているチームがあまりにも多いという事だ。

各ポジションでの役割を意識し、プレーエリアを考え、フォーメーションを守り、組織で攻め、組織で守る。ビックリしたのは、対戦相手によって戦い方を変えてくるチームまである。しかし、そんな選手たちに目標とする選手を聞いてみると、C・ロナウド、メッシ、ロナウジーニョ、カカ……。何か変だ。

小学生のうちから、チームは組織的で、選手は機械的に動き、サッカーを頭で勉強している印象を受ける。しかし、それはこの先いくらだってできる。今やらなくてはいけないのは、ボールを、そしてサッカーを体全体で感じ、感覚をみがく事だ。こうした感覚は、組織や戦術で選手をしばってしまえば、身につかないものだと思う。

僕はここにこだわる理由がある。それは世界との差を、やはり個の力だと感じるからだ。だから子供たちには、世界で活躍する選手たちのように、ボールを持ったら、こわさを感じさせる選手になってもらいたい。そのためにもまず、ボールを持ったら、ゴールを目指し、局面を個の力で打開する事に、今はこだわってほしい。こうして育っていった選手たちが、個の力を組織でおぎなうサッカーから、個の力で組織をより強いものにしたサッカーに変えてくれる事を、期待している。

サッカーは作戦版の上で監督がやるのではなく、選手がグランドの上でやるものだという事を、つねに頭に入れながら、これからも選手と向き合っていこうと思う。

2008年09月02日 長橋康弘

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