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OB'sコラム

over the pitch

2008 / file01

U-16秋田国民体育大会 エピソード1 

大場健史
Oba,Kenji

1967年8月14日生まれ、神奈川県出身。 Jリーグ創設時の鹿島アントラーズのメンバーとして活躍。その後、柏レイソル、当時JFLの川崎フロンターレに移籍し、闘争心あふれるアグレッシブなプレーでチームを鼓舞し続けたDF。引退後、U-13からU-18まで幅広い年代の強化・育成に携わり、子供たちからの信頼も厚い。現・川崎フロンターレU-15監督。

「立ち上げ」

2006年2月に神奈川県サッカー協会の先生方から打診がありました。それは「来年の(2007)秋田国体に向けて監督としてU-15(中3)セントラルトレセン(神奈川トップレベルの選手たち)を立ち上げてほしい」との事でした。

国体は私自身高校時代に神奈川県代表として経験がありました。なぜU-15の時からスタートしなければならないか、以前国体は高校3年生のカテゴリーの中から県を代表とする選手が出場していましたが、それではユースレベルは上がらない、大切な高校1年生の時期に拮抗としたゲームを経験することで県のレベル、全国のレベルが上がってくる、日本サッカー界そして世界へと繋がるすばらしいプレーヤーを育てることができる、だからU-15の時期に(2年間を掛けて)選手を強化していく、このような機会に携わることが出来て本当に光栄だと思っています。

そしてもう一つは、高校時代に色々なところで先生方にお世話になったこともあり、いつか恩返しをしたいと思い直ぐに返事をしました。ユース年代を指導することで、今現在どのような状況で、どのくらいのレベルなのか、自分が指導しているジュニアユースの選手たちに伝えることができる。「全国のトップレベルのユース選手たちはこれが出来なければだめだ、ここから各代表の道へと繋がる可能性がある。」と選手たちも把握し、目標となり、日々のトレーニングにも更に向上心が芽生えてくる。

スタートは選手の選考から始まり、中体連、Jクラブと選手をピックアップしました。自分の中での理想像は個人戦術と多くのアイデアがあり一番大切な戦う意欲のあるプレーヤーを集めることです。しかし指導していくうちに何かが足りなかった、個人での突破、守備は非常に良いのだがグループとしてチームとして何をしたいのか、何を伝えたいのかがハッキリ出来ていない、失点されてもお互いが何も要求しない、タダ漠然とプレーしているシーンが多くあった。これではどんな大会にも簡単に負けてしまう、彼らに要求したことは、「何の為にこのピッチにいるのか、負けて悔しくないのか、目的は、目標は、自分自身をもっとアピールしなければいけない、失敗したら引きずらずに直ぐに修正しなければいけない、それが出来なければここに居るな」と怒鳴ったこともありました。 そこで合宿やトレセンリーグなど限られた時間の中で各ポジションごとにミーティングをさせました、コミュニケーションへの積極性がなければ各代表候補に今後選ばれても自分をアピールできずに終わってしまう。

ここに面白い台詞があります「あしたやろうはバカやろう」耳にした人も居ると思うが、テレビドラマの中にでてきた台詞、非常に印象に残っています。これが全てではないけれど、この意味は私なりに思うには、「あしたやろう」はその日に100%の力を出していない、「失敗してもいいや明日があるから」とサッカーの世界ではゲーム中、常にめまぐるしく状況が変化します。誰でもミスはあるが、次ミスしない為に瞬時に考えてプレーしなければならない。トップレベルの大会で、一つのミスが失点に繋がる、多ければ試合に負けてしまう世界。上に行けば行くほどにもっと厳しさが増してくる。監督によっては使えない選手は次の日、試合に出場すらできなくなる、チームに居られなくなる、そういう世界だ!だから常に危機感を持ちながら、100%で悔いの無いように日々努力しプレーしなければ絶対に個人のレベル、日本のレベルも上がらない、世界のトップ10なんて遠い目標に過ぎない、だからこそ選手もスタッフも命がけでやらなければいけない、常に危機感を持ちながら。

U-15トレセンリーグでは、神奈川県は優勝することができました、限られた日数、時間の中で選手、スタッフ共に100%のプレーで臨んだからと思います。

この気持ちを忘れずに次の目標であるU-16関東大会を勝ち抜き、必ず本大会出場を決めたいと思います。

2008年03月01日 大場健史

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