Soma's Eye
2006 / file01
近況報告
相馬直樹
Soma,Naoki
清水東高、早稲田大学を経て1994年、鹿島アントラーズに加入。その後、2002年、東京ヴェルディ1969、2003年鹿島アントラーズを経て、2004年、川崎フロンターレに加入。豊富な経験値でJ1リーグ昇格を支え、2005年12月引退。現在、川崎フロンターレ・クラブアシストパートナー。
国際Aマッチ通算59試合4得点。1971年7月19日生まれ、静岡県出身。175cm、72kg。
ようこそ相馬直樹のコラムコーナー『相馬の目』へ。今回のコラムを皮切りに、年6回という回数ではありますが、僕自身の目を通じていろいろとフロンターレを、それと僕の感じた他愛もないことなんかを語っていけたらななんて思ってます。
まずは僕自身の近況から報告します。現在はというと今年から始まる新しい仕事の準備段階って感じです。今年に限って言いますと、サッカーの解説や雑誌の取材、サッカークリニックなどといったことをしていこうと思ってます。それから指導者のB級ライセンスも今年中に取ろうと思ってます。来年以降のこととしては、昨年の引退会見の中でも話したのですが、すぐに現場ということではなく、外からサッカーを見て、サッカーや社会を学びつつ、セカンドキャリアにおける自分の夢、目標というものを見定めていければいいかなと思ってます。
準備段階ということで、今までお世話になった人や、新しい仕事、違った分野の人などいろんな人と、選手だった時よりも積極的に会うようにしています。まあそうやって人と会って聞かれることは「で、これからどうするの?」ってことです。そこでの僕の答えは「フリーターですかね。まあ、ニートと呼んでもらってもいいですけど。(笑)」なんて答えてます。事実まだきちんとした仕事がある訳ではないので、あまり笑い事とは言えないのですが。
そんな中2月の初旬にキャンプ地巡りをしてきました。たくさんの日にちがあった訳ではなかったのですが、短い日程のなか6つものチームを見てくることができました。もちろん我がフロンターレも見てきましたよ。宮崎綾町での1次キャンプ中の6日目というところでしたが、みんな元気にトレーニングしていました。そこまで午前午後の2部練習をずっと続けてきていたし、ちょうど疲れはピークというところなはずなのに、よく声が出ていていい空気がピッチに流れていたので、ここまで順調に来ているなということを強く感じました。その中で特にうれしかったのはオニが元気にトレーニングしていたこと。今年に懸ける思いもあって年始から境トレーナーと一緒にリハビリしていたのも知ってるので、キツいキャンプをここまでクリアできていることは僕(ケガのつらさはよくわかってる!)にとってもうれしいことでありました。フロンターレに移籍してから引退するまでの2年間、僕はいろいろな面でオニに助けられたことが多かったので、今年は本当に頑張ってほしいなと思ってます。
今回初めて実際にピッチの外から練習を見るということになったのですが、ものすごい違和感があるんですね、これが。外から選手を見ているという、なんと言ったらいいのか分からないんですが、変な焦燥感、間違ったところにいるような感覚、言いようのない違和感。特に強く感じたのは今回一番最初にキャンプを見に行った代表キャンプの時でした。ZICOに挨拶にいくというのが大きな目的であったのですが、そのこととは別に、目の前でキツいフィジカルトレーニングを必死になってこなしている選手達を見ながら、「オレ何やってるんだろう。」「あれ?オレ何考えてんだろう?」なんて思ったりしました。さらに追い討ちをかけられるようなことが。実はプレスというものにはとても厳しい制約があって(特に代表は厳しい)、ある線を越えてピッチ側、選手側へ行くことはできないのです。超えることのできない一本の境界線に圧倒的な威圧感を覚えました。このとき初めて引退したという事実を突きつけられたような気がしました。「本当にこっち側の人間になっちゃったんだな。」という寂しさ、もどかしさみたいなものがこみ上げてきて、引退というものを皮膚で感じたりしたのです。
それにくらべるとフロンターレは本当にアットホームで良かったですね。練習着貸してもらって、一緒に練習参加させてくれるんじゃないかぐらいの雰囲気もあって。もちろんプレス規制もないし(代表とフロンターレのプレス数を考えたら当然と言えば当然か…)、ピッチのすぐそばで見ることもできたし。さらにはホテルに行って、温泉にみんなと一緒に入って、昼飯までごちそうになっちゃったりして。ちょっとやり過ぎかなって気もしたんだけど、そういう場所があるのはうれしいなって。「ああ、最後のチームがここフロンターレで良かったな」ってしみじみ思ったりしました。
そのフロンターレとこの度『クラブアシストパートナー』契約を結ばせていただきました。『クラブアシストパートナー』って何?って思った人がたくさんいるでしょう。実は僕もその一人なんだけどね。名前はどうでもいいんだろうけど内容を大まかに言うと、フロンターレの広報活動、普及活動に協力していきますということです。クリニックなんかにも参加させてもらうことになると思います。実のところ今の僕にはボールに触る機会がなかなかありません。結構寂しい思いとともに、ボール思い切り蹴れるかなぁなんて不安もあったりする訳ですが、こういった形でボールを蹴りながら子供達とふれあう機会を持つことができるということで、願ったりかなったりのこととなりました。そのほかでも皆さんとお会いできる機会もあるかと思います。このコラムを含め、「これからもよろしくお願いします」です。それでは次回をお楽しみに!
2006年02月28日 相馬直樹