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2008年05月 アーカイブ

2008年05月01日

U-16秋田国民体育大会 エピソード2

「ミニ国体・そして秋田へ」

今年は、なんとしてでも本大会に出場したい。
そのためには、8月の関東ブロック大会(ミニ国体)を勝ち抜かなければいけない。この大会は関東から4チーム(8チーム中)が出場でき、一発勝てば本大会へ、負ければ敗者復活戦へ回らなければいけない。

神奈川県の対戦相手は千葉県。千葉はタレント的にはかなり多くJクラブ、高体連と質の高い選手が多く、フォワードに190cmの選手がいて、そこを基点としての攻撃が多い。われわれは、その日に向けての準備を進めた。4月、5月に高校2年生の早生まれの選手たちをセレクトし(国体は早生まれの出場が可)月2回のトレーニングそしてゲームをこなしていった。
去年の神奈川のゲームを分析し、勝つためには何をすればいいかスタッフでミーティングをした。攻撃は一人一人が多くのアイデアを持ち、ボール支配率は非常に高いのだが、守備が不安定でカウンターでの失点が多かった。トレーニングは攻撃よりも守備重視で多くの時間を費やした。彼らに要求したのは、「奪われた瞬間に誰が最初にボールにアタックに行くかここを曖昧にすると失点をしてしまう、だから常に頭を働かし次への予測をしなければいけない。」8月は猛暑の時期で、普通にしていても頭がボーッとし集中力が無くなってしまう、だからプランをしっかりとたてなければ勝つことが出来ない。トレーニングとゲームをこなしていくうちにプレーの質は非常に高くなってきた。選手間でのコミュニケーションも多くお互いが何を要求しゲームを支配していくのか明確になってきた。全て調子いいがこうゆうときこそ落とし穴があるので気が抜けない。

ミニ国体はそんなに甘くない、一発勝負、猛暑、プレッシャーとの闘い。彼らに話したことは、「プライド、ポジティブ」。チームの代表として、神奈川の代表としてのプライドとこのピッチに立つことに感謝すること、しかしそれはサッカー人生の一つの通過点に過ぎない、君たちはここから日本代表そして世界に行かなければいけない、だから立ち止まってはいけない、前に前に進むべきだと伝えた。
今年のメンバーは非常に戦術的な理解力があり能力も高い。チームでやることに素早く反応しゲームで表現してくれる。そして何よりも戦う意欲がある。全国にはうまい選手はたくさんいるが貪欲に戦う選手は少ない、これではただのサッカー選手で終わってしまう。サッカーで飯を食うなら、しっかりとした目標そして強い意志を持ちプロで活躍できる選手にならなければいけない。彼らにはその可能性がある。だからメンバーとして選んだのだ。

2007年8月21日、いよいよ関東代表を決める一戦が始まる、ここで必ず勝って本大会へ行きたい、この気持ちは両チームとも同じ、しかしどれだけその気持ちを多く持ち、結束力を高めることが出来るかが勝利へのカギとなるか。私たちは必ず勝つ、勝つためにメンバーを決め、勝つためにトレーニングをしてきた。

場所は埼玉スタジアム第二グランド。天然芝のピッチコンディションは最高の状態、気温は35℃、グランドレベルは40℃に達するだろう。しかし負けるわけにはいかない。
更衣室の中では選手たちがミーティングの時間まで色々なことをやっていた。音楽を聴く者、スパイクをチェックする者、入念にストレッチをする者、仲間と話している者、目を閉じてイメージトレーニングをしている者(寝てはいないよ!)。この光景は現役時代を思い出す。私も同じ事をやっていた(懐かしい)。
全体のミーティングでは、選手に伝えたことは、「今までやってきたことを、どれだけ表現できるか、そして強い気持ちを相手より多く持つことが出来るか、そして一つになれるか。この3つが今日の試合のポイントだ」と。彼らは必ず出来ると私は信じていた。

キックオフの時間が刻一刻と迫ってきた。選手のリラックスした顔から勝負の顔に変わってきた。手をつなぎ円陣を組み、目を瞑りゲームのイメージを最大限に頭にやきつけ、そして気持ちを一つにピッチに入っていった。
AM10:00。前半がスタート。さすがにピッチ場は暑い、40℃はいっていると思う。そんな状況でも選手達は一つのボールを懸命に追いかけていた。スタートから2分。横浜FMユースのFW榎本が味方のスルーパスから相手DFの裏を取りキーパーと1対1。冷静にゴール右隅に決め先制点を決めた。選手、スタッフみんながこのゴールに喜んだ。その後は、千葉県の190cmのFWを基点に攻めてきたが、そこは川崎FユースのDF大和田、セカンドボールに対して川崎FユースのMF岩渕が対応し相手の攻撃を阻止していた。われわれの攻撃は、グランドを広く使い、テンポよくボールを動かし、サイドからの攻撃を多くして相手のゴールに襲い掛かった。狙い通りに前半21分に日大高校の早生まれの2年生MF大貫が豪快に決め2点目。同じくMF大貫が33分に3点目を決め前半を折り返した。

ハーフタイムの更衣室。選手の顔には安心感が見えた。選手たちは「これで決まった」。「千葉県はぜんぜんだね」と話している選手。私は選手たちの話している会話を聞いて激怒した「お前らサッカー甘く見るな。まだ終わっていない。ひとりでもそんな気持ちがあるならそこから穴が空き、攻められ崩され失点してしまう。今までやってきたことが全て無駄になる、それでもいいのか、終了のホイッスルがなるまで、体がぶっ倒れるまで走り通せ、ボールを追い掛け回せ。」と私は言葉に力が入った。選手たちの顔は、硬直していた。キャプテンである横浜FMユース中田がみんなに声をかけ「スタート時の気持ちで行こう」とみんなを盛り上げた。

10:50、後半スタート。千葉県は攻守共に激しかった。必死になって神奈川のボールを奪い、早くゴール前に運んできた。そして後半4分神奈川県のDFのクリアーミスを拾いシュート、失点。スコアは3-1。まだ千葉県の猛攻は続く。なかなか神奈川県のリズムが作れない。そして9分にサイドから崩されゴール前にクロス、中で競り合ったが相手が一歩早く触りゴール。スコアは3-2。
サッカーは何が起こるかわからない世界。だから見ているほうは面白いかも知れない。しかしピッチ上は命がけ。これ以上の失点はしたくないので川崎FユースGK奥山とDF陣に「マークをしっかり付け」キャプテンに「あわてるな、しっかりと声を掛け合え、ボールを動かせ」とコーチングをした。彼らには修正する能力はあるので必ずリズムを変えられると思った。それから10分間は非常に激しいゲーム展開となった。相手のDFに疲れが見えてきたところに私は選手の交代を命じた。横浜FMユースの俊足、塩田を投入し彼には「相手DFはかなり疲れが見えてきた。背後を多く狙え」と伝えてピッチに送った。彼は持ち前のスピードを活かし、相手DF陣を翻弄した。そして25分にFWの榎本が個人技で相手DFを抜き去りゴール。スコアは4-2とした。千葉県のリズムが落ちてきた。そして30分、FW榎本がこの日3点目となるゴールを決めてくれた。この瞬間はスタッフもガッツポーズを披露。残り10分、うまく交替選手を入れながら時間を使った。そして試合終了のホイッスル。
スタッフもサブのメンバーも大喜び。われわれは念願の本大会出場を手にしたのだ。結果は大差だが、内容は苦しかった。よく選手たちは最後まであきらめないで頑張ったと思う。一瞬緩んだメンタルをしっかり自分たちで修正して得た勝利。やはり彼らを選んでよかった、誇りに思う。

いよいよ1ヵ月後の9月29日。秋田国体がスタートする。この大会は、トーナメント方式で一発負けたら神奈川に帰らなければいけない。最後の決勝まで行くには、もう一度課題を修正して全員の心を一つに準備をしていく。

2008年05月10日

関さんの植え付けたスピリット

ゴールデンウィークも過ぎ、今日(5月10日)は前半戦最大の山場ともいえる浦和レッズとの一戦。この原稿を書いている時点(5月6日現在)では、その結果を知る由もありませんが、果たしてどのような結果となっているでしょうか。

この試合を迎えるにあたって我らがフロンターレは、4連勝と好調を維持し暫定ながら3位という位置まで順位を上げてきました。タイトル奪取を意識してスタートした今季でしたが、フッキの退団騒動などもある中スタートダッシュにつまづき、さらには関塚隆前監督が体調不良により高畠努新監督と交代するという大アクシデントがありました。そうした状況において今のフロンターレは、選手、スタッフ、そしてサポーターすべてが一致団結した強さを見せてくれています。

そこで今回は、関さんの話を書かせてもらおうと思います。すでに一度、僕自身のオフィシャルサイトでも触れさせてもらったのですが、『OB'sコラム』の順番がこの時期に回ってきたということもあって、話をさせてもらいたいと思います。

関さんと僕がアントラーズで、長い間コーチ・選手の間柄であったことはご存知の方も多いことかと思いますが、実は学生時代すでに監督・選手という関係でありました。僕が早大2年生の時(91年)に初めて関さんと出会っていたのです。そして04年には、関さんにフロンターレに連れてきてもらい、翌05年に引退したわけですから、僕の現役生活のほとんどの時間を、関さんとピッチに立っていたわけですね。
ですから関さんとはよかったことも悔しかったことも、いろんなことを経験してきたわけですが、その中でも03年末にフロンターレに来るときに関さんから話してもらったことを書きたいと思います。

そのとき、フロンターレを一緒に昇格させようという話をいただいていたのですが、その中で関さんがしてくれた「組織作り」という話がとても印象的でした。関さんは一年でのJ1昇格にこだわっていましたし、そこからのJ1での戦いも見据えたチームを作りたいという話もしていたのですが、この「組織作り」という言葉で表されていたものは、もし自分(関さん)がいなくなったときにチームの方向性が無くなってしまうことは避けたいということでした。それはすなわち、フロンターレにチームカラーを定着させる仕事をしたいということだったと思います。

現場での話とすれば、サッカーの方向性を共有するということが挙げられます。関さんは「ベクトルを合わせる」という言葉をよく使いますが、これは、例えば「この状況ではカウンターだ」とか、「この展開ではサイドチェンジだ」というようなことを、11人全員が同じように感じるということです。それがないと、「速攻だ」と思った瞬間にバックパスが入ってしまったりということが起きるわけで、こうしたプレーの意図を合わせることはとても大切なのです。またベクトルを合わせておくことによって、誰が出場してもチーム力にバラツキが無いようにすることも可能になります。そうして作り上げた安定した組織力の上に、個の力が最大限発揮されると関さんは考えているはずです。

また組織力をつけていきたいと考えていたのは、選手たちだけにはとどまりませんでした。僕が加入した04シーズン当初、関さんが自分自身でスカウティングビデオの編集をしていましたが、05年には高畠コーチ(当時、現監督)が、07年からは今野コーチが担当しています。このスカウティングビデオとは、自分たちの試合の反省や次の対戦相手の分析するために使いますが、90分の試合をおおよそ10分から20分ほどにまとめて編集してあります。このとき重要なのが、どのプレーを問題にして指摘するのかということですが、その作業を任せるということは、監督とその編集担当者との間でサッカー観の共有が必要になりますよね。こうすることによって、関さんはコーチングスタッフと関さんの頭の中にあるサッカーを共有してきたわけです。
ですが、そうしたサッカー観の共有というもの以上に重要なのは、継承されるようなスピリットを植え付けることなのかもしれません。サッカーに真摯に打ち込み、勝利を貪欲に追及する。目の前の試合を全力で勝ちに行く。ピッチに立っている11人だけでなく全選手で戦うといったこともそうですね。こうした「フロンターレ=戦う集団」というスピリットを、関さんは植え付けてきたのではないでしょうか。

こうして考えてみると、フロンターレがここまで積み上げてきた方向性を失わずに今後も進んでいけるのかどうかこそが、監督・関塚隆の真の成果として問われることになると思います。もちろんそれは高畠新監督が色を付けることを否定するものではありません。共有してきたベクトルに高畠新監督の新しい方向性を加味していくことで、さらにチームは飛躍していくことでしょう。高畠新監督にバトンが渡ってから4連勝と、一気に上昇気流に乗ったフロンターレですが、今後もフロンターレらしい戦いを続けていってもらいたいと思います。

最後になりましたが、関さんにはまずゆっくりと休んでいただきたいと思います。その上でリフレッシュしてパワーアップした関さんが、いつかまた等々力でタイトルにチャレンジする日を待っています。

2008年05月20日

チームカラー

今回は、『チームカラー』について書きたいと思います。

スカウトの仕事で、数え切れないほどの試合を見ることができました。
高校・大学の試合を見るときに興味を持つのは、カラーが出ているチームです。徹底して前線にロングボールを蹴って攻撃するチームやゴールキーパーからショートパスをつないで、攻撃するチーム、バックラインからドリブルで仕掛けるチームなど、さまざまなチームのスタイルがあって面白いです。そこからは、指導者のカラーが伺えます。

ドリブルで仕掛けるチームは、個人がドリブルで局面を打開する力を身につけることやボールを自由に扱えることを目的にドリブルの練習をしています。そこには、指導者の考えがはっきりしていることがわかります。この指導者の考えが、チームのカラーになっていると思います。いかに指導者が一貫した方向性を打ち出せるかが、チームにとって重要になります。中途半端な考えではカラーは出せないと思います。

このカラーによって学校を選び、進学している選手は少なくないと思います。特に将来プロでやりたいと思ったときに、学校選びはとても重要だと思います。自分のスタイルにあった学校を選ばないと自分の持っている特長を発揮できない可能性があるからです。

例えば、テクニックがあるのに進学した学校がロングボールを多様する学校だったりすると自分の存在がうすれたりする可能性があり、自分のスタイルを変えなければならないかもしれません。もちろんマイナスな面ばかりではないと思います。自分のスタイルを変えたことで開花する選手もいるかもしれません。自分の特徴を出せる学校を選ぶのがいいと思います。それには、自分の特徴を知っていること、自分の目指すサッカースタイルがどの学校にあるかを知らなくてはいけません。

指導者としてみると、チームカラーだけでは、いい選手は育ちません。指導者がチームカラーを押し付けても個性を伸ばすのは難しいからです。指導者は、柔軟で個性を発揮できるように指導することが大切です。個性を発揮することで、選手は成長します。それが、チームにとって大事な個性になります。

ただ、これだけは言えます。
プレイヤーとして、中途半端な技術ではチームカラーに負けてしまいます。
しかし、優れた技術があれば、どんなチームスタイルにも柔軟に対応ができます。
技術はとても重要です。技術を磨いていきましょう!

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