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 2007/vol.06

「うちは、関さんを中心にチーム力で戦ってきた。変化しつつ、あうんの呼吸でやれているのが強みだと思う」

  伊藤宏樹は、2001年にフロンターレに加入。以来、ずっとレギュラーとして試合に出場している。徐々にステップアップしてきたチームは、昨年J1リーグで2位という成績をおさめ注目を浴びた。転機となった昨シーズンを伊藤はキャプテンとして取りまとめてきた。その激動のシーズンを終えた直後に伊藤自身にシーズンを振り返ってもらった。そこには、チームについて徹底的に考えるキャプテンの姿と2006年の等身大のフロンターレが見えてくる。

 2006年、J1に復帰し2シーズン目を戦い終えたフロンターレ。1シーズンを戦い終えた伊藤宏樹は、いつもと変わらない淡々とした調子で過大評価も卑下することもなく、自分が感じた「真実」を語り始めた。
「余裕はなかったですよね。1試合1試合に賭けていたし、無我夢中でやっていた感じです。途中しんどいこともあったけど、このチームは時間をかけてみんなで作ってきた。2006年も最後まで積み重ねながらやってきた。いろんなことがあったけど、後になって振り返れば充実していた1年でしたね」

 関塚監督就任3年目となる2006シーズン。フロンターレは、ラインを高く保ちコンパクトなサッカーに新たにチャレンジしていた。キャンプインから充実した練習が積み重ねられ練習試合も含め、仕上がりは満足できるものだった。

「キャンプでは、選手だけのミーティングも何度かしました。2005年は優勝争いにほんのちょっとだけ絡めたというのがあったけど、そこで絶対に満足しちゃダメだ。自分たちにまだ力はないし、チームには歴史もない。それ以上のことをしていかないと、という話をしたと思います。練習試合ではセレッソや広島と対戦して、いい内容で勝っていたし、サブ組もいいパフォーマンスをしていたから開幕前から手応えはありました」
 2006年3月5日(日)、J1リーグが開幕。フロンターレはホームで新潟を相手に6対0と快勝、続く第2節も京都に対して7対2と大勝する。開幕から首位スタートを切った。

「新しいサッカーには、ちょっとずつ取り組んでいった感じですね。関さんは選手の話もよく聞いてくれたし、実際にプレーするのは選手たちだからやりやすいようにしてくれるところがある。みんなで意見を言いながらチームを作っていったという感じです。開幕戦は、出来すぎだった。でも、注目を浴びることによって、なお引き締まっていけたことはプラスに働いたと思います」

  その後、第3節甲府戦では初黒星を喫するが、ワールドカップ中断期間前までは苦しい試合もあったが順調に勝ち星を重ねていった。第4節FC東京戦(△2-2)のようにギリギリのところで引き分けに追いついた試合もあったが、第6節千葉戦(△2-2)、第10節清水戦(△2-2)など終了間際に追いつかれる試合もあった。気づけば第11節を終え、再び首位の座についていた。
「もったいない、のひとこと。とりこぼしというか、相手の勢いに押された感じがありました。でも、この頃は自分たちの歯車がかみ合っていたというか、やりたいことができていたというイメージがあります。接戦が多いですけど、内容的には余裕をもってできていた。やっぱりいままで積み重ねてきた自信が大きかったと思います」
 ホーム&アウェイ形式で行われたナビスコカップ準々決勝浦和戦での勝利もチームに大きな自信をもたらした。
「すごい大きかったですね。自信になりました。初戦のアウェイでワシントンに4点を取られてしまったのは、ありえない経験でしたけど。次のホームまでの準備期間は短かったけれど、サイドからの守備を修正して臨めた。ここで勝てばチームとして絶対に成長できると思っていました」

 順調に推移していたチームの転機は、突然に訪れた。レギュラーのひとりであるマルクスが移籍で抜けたのだ。中断期間に新加入選手マギヌンが加わり、新たなチーム作りを余儀なくされた。
「驚きました。突然のことだったので。何言ってるんだよ、という気持ちでした。マルクスは中心選手だっただけに戦い方の変更は仕方なかったけれど、難しかったですね。でも、マギヌンがうまく入ってくれて、乗り越えられた」

伊藤宏樹ORIHICA


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 1位でいることに奢ることなく、自分たちのサッカー、戦術を高めていこう─。
 関塚監督が繰り返し使ってきたチームの“ベクトル”は、ぶれることがなかった。7月19日から再開したリーグ戦は、「修羅場3」とクラブ総出でキャンペーンを行った。浦和には星を落としたが、初戦の鹿島、3戦目のG大阪に勝利し、2勝1敗で乗り切った。関塚監督は、ここでG大阪に勝利したことは、大きなポイントだったと後に振り返っている。
「いい形で入れましたね。うちのチームの攻撃は後ろから見ていて迫力がある。例えば、右から攻めているときに左サイドが中に入ってきたり、ボランチが前につめていたりする。ただ、それは守備に強さがあるからできることだとは思っています。失点は多かったけれど、この時期、攻守のバランスは悪くなかった。前に人数をかけられるのはバランスがいいからできていたこと」

 だが、そこからチームは苦しんだ。大分、横浜に1対1と引き分け、アウェイの新潟で1対2と敗れる。チームの雰囲気もピリピリとしたムードが漂った。
「修羅場3でホッとしてしまったのか…。内容は悪くはなかったけれど、勝てなかった。研究もされてきていたし、リスタートやカウンターでの失点も増えていた。新潟に負けたときは、開幕戦で6対0で勝っていた相手だっただけにショックだった。ただ、そこで新潟の気持ちの入ったサッカーを見せつけられて気づかされたし、目覚めさせられました」
 第19節名古屋戦を4対2で勝利した後、イレブンの表情は久しぶりに明るかった。
「もう一回、勝ちに行こうと気持ちを入れることができた」

shuhei ナビスコカップは、どうしても獲りたいタイトルだった。
 9月17日の第23節磐田戦、20日ナビスコカップ準決勝千葉戦、23日第24節G大阪戦と続いた3連戦で3連敗を喫したフロンターレ。とくに、ナビスコカップでの敗戦は、終了間際の微妙な判定も含め負け方のダメージも大きかった。
「ナビスコは、まずホームでしっかり勝てなかったのが痛かった。アウェイの試合は、ショックでしたね…。本当に獲れると思っていたし、決勝の舞台に立ちたかった。負けてしまったことを審判のせいにしてしまった部分もあったけれど、自分たちの失点が多かったことも事実。もっと、どうにかできたかもしれない。どこかで(負けた原因から)逃げていたのかもしれない。だから、気持ちの切り替えは難しかった」

 この時期、キャプテンは踏ん張りどころだと考えていた。チームメイトと話す時間をもった。
「一番恐いのは、チームがバラバラになること。批判ではなく、お互いに要求しあったり言いたいことを言おうと話した。やってるサッカー、めざすサッカーは変わらないけれど、どこか歯車が噛みあっていなかったから、みんなでカバーしていく気持ちでやっていこう、と。あと、試合に対する気持ちをもう一回出していこうと話しました。みんなが迷いなくサッカーをやれているか、それが一番気にしていることですね。ここまで自分がチームのことを考えるようになるとは入ったばかりの頃は想像もしていなかったです」

 2006年のフロンターレはどん底に落ちても、そこから這い上がる。その繰り返しだった。27節甲府戦では、実に5ヵ月ぶりの無失点勝利。失点が続いていただけに守備陣は、ホッとした表情をみせた。
「失点数はすごく気にしていますよ。こうやって振り返るのがイヤなぐらい。ただ、甲府戦などは、内容というよりも勝つために体を張れた。内容が悪くても勝とう、という気持ちでした」

 第28節浦和戦では、「攻守の切り替えを早く」と「まずはしっかりとした守備から入る」という基本に立ち返り試合に入った。微妙にズレていた“バランス”に全員が意識を向けていた。拮抗した展開の末、試合は2対2の引き分けに終わった。
「負ければ10差がつく。この試合はどうしても勝ちたかった。ここで勝てていたら優勝できたかもしれない…と思ってます」

 まだ、波乱は続く。第30節のFC東京戦では4対1から、ふたり退場者を出したとはいえまさかの逆転負け。この試合のダメージはさらに次の福岡戦で箕輪、ジュニーニョ、マギヌン、マルコンを欠くという事態をひきおこす。しかし、福岡戦で和製イレブンは代わりに入った選手も含めて一丸となって結果を出した。
「FC東京戦は、2006年で悪い意味ですごく印象深い試合。とにかく、情けなかった。相手が人数をかけてきたときの守り方が悪かった。人についていってしまったけれど、ゾーンで守るべきだった。5失点は、自分でもびっくりした。まだまだ弱いなぁと実感した試合でした。次の福岡戦では代わりの選手たちがしっかりやってくれた。この年は彼らが出た試合で活躍してくれたことが大きかった」

 第32節清水戦での敗戦でフロンターレの優勝の可能性は消えた。だが、イレブンはACL出場を次の目標に置き、そこからの2試合、鹿島、C大阪にきっちりと勝利をおさめた。1試合1試合積み重ねてきた結果、最後に2位という順位に手が届いていた。
「清水戦は力不足のひとことです。ただ、その後、もう一回ACLという目標にきりかえて2位までもっていけたことはチームとして最後は成長できたと感じられました。最後、モチベーションは高かったです。うれしかった。でも…」とキャプテンは続けた。
「なんでもっと踏ん張れなかったんだろう、というのが正直な気持ちです。途中までは1位だったわけだから、あのとき勝っていれば、という試合ばかりでリーグ戦が終わった直後は悔やんでいました。届きそうで届かなかった優勝。でも、1位と2位の差は大きいんだろうなぁと思います」

 来る2007シーズンに向け、キャプテンはこう決意を語った。
「これまでの気持ちを忘れないことが大事。昨年は2位という結果を残したけど、まだフロンターレはこれから歴史を作っていくチームです。昨年の最初にみんながもっていたチャレンジャー精神を忘れずに、今年も1試合1試合を積み重ねていきたいです。ACLも新しい目標になるけれど、Jリーグと同じように毎試合しっかり準備をして臨みたいと思っています。もちろん、新しい挑戦になるのでとても楽しみにしていますよ。僕は今年で在籍7年目になるけれど、チームの成長段階をともに歩んできた実感がある。だから、一緒にやってきたメンバーでフロンターレで絶対にタイトルを獲りたい。それから2007年は、川崎にフロンターレが根付く大きなチャンスの年だと思う。サポーターの皆さんにも昨年以上に応援してもらえるように、一丸となってしっかり戦っていきたい。とにかく選手、スタッフ、サポーターが一体となって新しいシーズンを迎えられたら、と思っています」

 そして、迎えた2007年――。

 5月9日、等々力はサポーターの温かな拍手と興奮した歓声に包まれていた。アレマ・マラン戦に勝利したフロンターレは、Jリーグチーム初となるACL予選突破を成し遂げたのだ。
「地味だけど、すごいですよね」と伊藤宏樹は顔をほころばせた。予選突破についての感想を訊ねると、少しの沈黙の後ゆっくりと口を開いた。
「みんなが言ってることだと思うけど、海外の試合をチームとしてはじめて経験してアウェイの勢いを感じながらも我慢強く試合をすることができた。粘り強く、崩れないサッカーができるようになったことで強くなったなぁと感じました。それに、最初はフロンターレがACLに出ることは不安視されていたと思うから、そういうのも見返したかった」

   チームが確実に前進を続けるとともに、伊藤自身も進化してきたのは間違いない。なかでも伊藤がテーマに掲げているのは、“チームディフェンス”だ。
「もちろん1対1では負けたくないというのはあります。でも、基本はチームディフェンスをしっかりすること。そのなかで1試合に数回ですけど、あえてリスクをおかしてもそこで自分が獲ったらパッとカウンターでつないで僕も出て行きチャンスを作れる、という場面があるんです。それは常に狙ってます。チームディフェンスが機能しているからこそ可能なプレーなので、そういう形から点がとれたらうれしいですよね」

 伊藤が「狙ってる」プレーは、そう容易いものではない。チームメイトの言葉を聞いても、彼の突出した特徴がみえてくる。
「左サイドからビルドアップもできるのは、すごい。1対1じゃ絶対に抜かれない。強いていえばヒロキさんはちょっと、優しすぎるところがあるけれどね」(谷口)
「1対1で抜かれることは、まずないでしょ。参考になる。間合いがうまくて、ボールを必ず獲りきるんだよね。それにつっかけるのもうまいし。あいつは、サッカーが大好きだからね。チャンピオンズリーグとかすごい観てるから」(寺田)

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  伊藤が狙っているという切り替えの早いプレーが生きるのは、チーム全体のバランスが保たれているからこそ。チームの結果とともに個人の能力も引き出されるという好循環が生まれたいい例だ。
「自分はともかくとして、ケンゴもクロも他に代表に選ばれているメンバーも急激にうまくなったわけじゃなくて、前からうまかったのは変わってない。チームのやること、方向性がしっかりしているし、結果がついてきたからみんなのよさが出てきたということだと思う。結果が出ればチームの雰囲気は上向くし、1試合1試合、目の前の試合に集中してやることで、紙一重のところでも我慢して勝ちを拾えるようになった。ずっと一緒にやっているメンバーも多いけど、変化しつつ、あうんの呼吸でやれているから」
 そして、こうつけ加えた。
「いま、フロンターレは誰が出てもみんなでカバーしてやれるチーム力がついた。みんなが関さんを信頼して、関さん中心にひとつのチームになることができていると思います」
 伊藤は、繰り返し「川崎を盛り上げたい」「等々力を満員にしたい」と公言してきた。ACL決勝トーナメントで、満員の等々力でプレーすること。それが、サポーターと共有したい目標であり、実現させたいことだ。いつも、フロンターレとともに歩んできたから、そう願っている。

 [むらかみ・かずひろ]
抜群のスピードとカバーリング力で加入以来、レギュラーの座を守り続けるチームの要。2005年以降、公式戦全試合フル出場を続けている鉄人だ。1978年7月27日生まれ、愛媛県出身。
>詳細プロフィール

www.orihica.com

ORIHICA's FASHION NOTE

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トップス

2ツボタンコットン
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3,990円

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オリヒカ担当者から

今回はORHICA流Cool Bizスタイルを伊藤選手に着ていただきました。今季トレンドカラーのグレーのコットンジャケット&パンツスタイルです。涼しげなニットタイをコーディネイト。タイはありでもなしでもOKです。オフィスではこんなCool Bizスタイルをおすすめします。

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