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SEASON 2013 / 
vol.17

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新井章太選手 GK30/Arai,Shota

何者でもない

新井章太選手 GK30/Arai,Shota

テキスト/いしかわ ごう 写真:大堀 優(オフィシャル)

text by Ishikawa,Go photo by Ohori,Suguru (Official)

国士舘大学卒業後、東京ヴェルディでプロのキャリアをスタートさせたが、2年間出場機会はなし。
トライアウトを経て、今シーズンから川崎フロンターレに加入した。ルーキーではないが、
公式戦の出場経験もないゴールキーパー・新井章太とは、いったい何者なのか。

「はじめまして、東京ヴェルディをクビ… あっ、間違えました、東京ヴェルディから移籍してきた新井章太です」

 2013年の新体制発表会。サポーターを前にした新井章太は、そんな自虐的に切り出して挨拶をした。場内は爆笑。掴みはOKだった。

 その明るいキャラクターからなのか、発表会後に行われたクラブ応援番組のインタビュー収録では、「なんかやってください」という無茶ぶりを彼だけが受けた。「フロンターレ、怖いわー」と言いながらも、「ぶらり途中下車の旅」のナレーションの声真似を披露している。こうして彼はフロンターレの一員となった。

「今年はあっという間でしたね。プロになって一番早かったかもしれません。それぐらい充実していました」

 リーグ戦も最終節を残すのみとなった。間もなく終わる2013年シーズンを、新井章太はそう振り返る。自身の公式戦出場の機会はない。ベンチ入りすらもゼロだった。まだ天皇杯を残しているが、第4GKとして過ごし続けてきた彼に出場機会が巡ってくる可能性は限りなく低いだろう。そういう状況でも彼は「充実していました」と口にしている。

 よく言われていることだが、GKというポジションでピッチに立てるのは一人だけだ。チーム内のゴールキーパーには明確とも言える序列があり、シーズンによっては第2GKでさえ一度も出番が巡ってこないことも珍しくない。それが第3GK、第4GKともあればなおさらのことである。つまり、Jリーグに登録されているGKの多くは、公式戦での出場機会のないまま一年を過ごしているということでもある。そんな、いつ巡って来るかわからないチャンスを我慢強く待てるかどうか。だからこそ、彼らは日々のトレーニングと練習試合を真剣に向かい合わなくてはいけない。

 11月3日、小平グラウンドで行われたFC東京との練習試合でのことだ。30分×4本で行われたトレーニングマッチは、主力組が出た1本目、2本目を終えてスコアが0-0。控え組中心に入れ替えた3本目に、矢島卓郎のゴールが生まれ、フロンターレが1-0とリードした。そして始まったラスト4本目、ゴールキーパーは高木駿に代わって新井章太になった。

 そこで新井は好セーブを連発している。
だが終盤の27分、クロスに飛び込んできた平山相太にゴールを割られ、練習試合は1-1で終了した。新井はその失点を猛烈に悔やんだ。

「自分は練習試合でも出れないことがあるんです。だから出たときは本当に1点もやりたくないんです。FC東京との練習試合も、結局、最後に自分だけが点を取られた。他のみんなは失点していないわけで、本当に悔しかった」

GK30 新井章太

 その4本目の途中には、こんな局面もあった。前線にいたFC東京の選手にボールが渡ったとき、明らかなオフサイドだったが線審の旗があがらなかったのだ。その1対1の大ピンチで放たれたシュートを、新井は俊敏なセービングで必死にかき出してしのいだが、判定に納得がいかず、審判に激高した。

「審判も練習試合の3本目、4本目のときになると適当に吹いたり、明らかなオフサイドも取ってくれないときもある。でもあれは本当にやめて欲しい。まわりは練習試合じゃん、って言うけど、俺には違うんです。俺は練習試合にも出れないんです。それに、もし自分のミスではなくても、その30分で失点しただけで『あいつは失点する』というイメージが出来てしまう。他もチームの人だって見ているわけで、俺にはただの練習試合じゃないんです」

 試合に出続けている主力選手にとっては、リーグ戦の合間に行う調整試合だったのかもしれない。しかし限られた時間しか出場機会のない第4GKには、これは真剣勝負の貴重な成長を確かめる場なのだ。新井章太のこうした姿勢は、菊池新吉GKコーチもしっかりと評価している。

「章太は性格的にはすごく真面目ですよ。熱心だし、パフォーマンスをあげるための努力を忠実にしている。GKはなかなか出番がないですが、どこでどうチャンスが巡って来るかはわからない。大事なのは、それでもやり続けることのできるメンタリティーです。章太は練習試合であろうと、与えられた時間の中でやり続けるメンタリティーを持っています。1シーズン、努力してきている姿勢はプレーにも現れている」

 その姿勢が技術の向上にもつながっていることを菊池コーチは証言する。

「ウチに来た最初は、人を動かしてゴールを守ることが優先的になりすぎて、自分自身のボールに対するプレーが失いかけているところがありました。コーチングがメインになりすぎて、ボールを止める動作が疎かになっている、というところですね。そこは改善してくれましたし、今は考えながら動きができるようになってきた。春先に比べると、先日のFC東京戦もだいぶよかった。春先とは違った自分のスタイルでゴールを守れるようになってきている」

 出場機会がなくとも、新井は着実に前進している。「充実していました」と口にした理由もわかった気がした。

「おれ、このままで終わってしまうのかな」

 大学3年生のある日、新井章太はぼんやりとそんなことを考えていた。小学3年生から本格的に始めたサッカーだったが、高校時代まで年代別代表の経験はおろか、全国大会に出場した経験もなし。大学サッカーの強豪・国士舘大学に進むも、大学リーグ戦に出場することもなく、3年生まではBチームで過ごしていた。言ってしまえば、凡庸なGKだった。

 だがターニングポイントは思わぬ形で訪れる。
国士舘大学では3年生のときに、学部によって研修制度があった。チームメートであるGK陣の多くはみな「21世紀アジア学部」に在籍しており、アジアに研修にいかなくてはいけなかったのだ。新井が在籍していたのは体育学部。アジア研修はなかった。そんな巡り合わせもあって、新井はトップにあたるAチームに合流する機会に恵まれたのだ。

 プロになれるレベルじゃなかったのは自分が一番良くわかっていたが、ここで「ラスト1年は必死でやろう」と決めて、彼はとことんまでサッカーに打ち込んだ。大学3年ともなれば、まわりも就職活動をし始める時期でもある。ただそれを両立しようとしたら、自分はサッカーの練習に集中できないと思った。就職なんてどうでもいい。卒業してからもバイトしながら食いつなげば良いと割り切り、彼はサッカーで生きて行く可能性に全力を注いだ。若さゆえとはいえ、それはあまりにも無謀な賭けだった。当時を振り返って「最悪ですよね」と本人も笑う。

「まわりから『どうすんの?』と心配されたけど、『どっかサッカーチームあるでしょ』と答えてました。ホント、甘い考えですよ。イチかバチかですよ。あの時の自分をぶん殴ってやりたいぐらい(笑)」

 それはまるで「蜘蛛の糸」のようなものだったのかもしれない。しかも、掴まっても途中で糸が切れてしまうかもしれないし、登り切っても極楽にたどり着くとは限らない、とてもとてもか細い蜘蛛の糸だった。だが新井はこの蜘蛛の糸に懸命にすがった。

 サッカーに全力で打ち込んだ甲斐もあり、4年生になると大学リーグの出場も果たした。ただポジション争いは熾烈で、総理大臣杯は肩の負傷も重なり、ポジションを奪われている。12月のインカレ(全日本大学サッカー選手権大会)ではポジションを奪い返して出場したが、田中雄大のいる関西大に敗退した。こうして新井章太の大学サッカー生活は幕を閉じている。

 Jリーグのクラブから誘いがあるなんてまったく考えていなかった。それでも、なんとかサッカーで生きていけないかと、4年生のときには下のカテゴリーであった町田ゼルビアやSC相模原には練習参加していた。特にSC相模原はセレクションでも無失点で、個人的にも良い感触だった。だが結果は、あえなく不合格だった。セレクションをしているクラブを探しながら、進路の決まらないまま2010年が終わった。

 そして年明けの2011年1月6日。突然、監督から「ヴェルディの練習に行ってこい」と言われたのだ。インカレが終わって引退してから、2週間以上身体を動かしていない状態だったが、「とりあえず行きます!」と即答して、よみうりランドの練習場に足を運んだ。

 当時の東京ヴェルディには国士舘大学の3学年先輩だったGKの鈴木智幸が所属していた。しかし彼がこのオフに栃木SCに移籍することになり、現在GKが3人しかない状態なのだという。3人のうちの一人はユースから昇格したばかりの新人・キローラン菜入。さすがにそれでは心もとないということで、進路の決まっていない新井に練習参加の話が回ってきたという事情だった。

 プロの練習は想像以上にレベルが高かったが、練習生として必死で食らいついた。その期間中、ヴェルディが開催したセレクションを受けると、その合格者発表で自分の名前が呼ばれた。「合格=入団」だとは思わず、翌日も練習参加を続けて良いという意味だと解釈していていたら、ある日、クラブハウスに呼ばれてプロ契約を結ぶことになった。「…マジかよ」と彼は天にも昇る気持ちになった。

「ヴェルディの練習着を来ている自分が信じられなかったですね。実は俺、幼稚園の卒園文集に『将来の夢はヴェルディ川崎の選手になる』って書いたんですよ。誰が好きとかじゃなくてヴェルディが好きで、靴も帽子も全身がヴェルディでした。『おれ、ヴェルディに入ったのか』と思うと、なんだかおかしかったですね」

 昨年末まで何者でもなかった新井章太が、年が明けるとJリーガーになっている。これはこれでちょっとしたシンデレラストーリーだったと言えるのかもしれない。

 だが、サッカー選手のゴールというのは、プロになることではない。むしろ、ここからが始まりなのである。実際、新井章太は、プロサッカー選手になってからの過酷な現実を目の当たりにする。彼の前に立ちふさがったのは、土肥洋一と柴崎貴広という2人の偉大なベテランGKの存在だった。

 土肥洋一は、216試合連続出場というJリーグ記録を持つベテランだ。日本代表キャップもあり、06年のドイツワールドカップメンバーにも選出されている。すでに40歳近い年齢を迎えていたとはいえ、新人の新井とは全てにおいて圧倒的な力の差があった。

 一方の柴崎貴広は、土肥とは対照的にそのキャリアをセカンドキーパーとして多く過ごしてきたタイプだった。温厚な性格で、試合に出られなくとも腐ることはなく黙々と練習に励み続ける姿勢は、控えGKに求められる資質ともいえた。プロ11年目にしてリーグ戦初勝利を飾ったという苦労人でもある。こうやって花が開いていくタイプもGKにはいるのだ。

「ヴェルディでは一番手が土肥さん、二番手がシバくん、そして3番手が俺でした。でも3番手の俺が2番手になるには最低でも5年はかかると思った。だから、とにかく必死にやるしかなかったですね。練習中も思いっきりやってました…でも本当に敵わなかったです。壁が高すぎました」

 1年目、土肥洋一の長期離脱もあってベンチには入り続けたが、公式戦の出場は巡ってこなかった。2年目も3番手のまま過ごしている。最後まで土肥と柴崎の牙城を崩すことはできなかった。そして2年が過ぎた2012年の終了後、新井はクラブから戦力外通告を受ける。土肥が引退となり、柴崎が横浜FCに移籍というチーム事情を思えば、3番手だった自分はチームに残れるものだと思っていただけにショックは大きかった。

「落ち込みましたね。でも『まだおれはやれる』と思っていました。次の日からはやってやろうと気持ちを切り替えて、トライアウトに申し込みました」

 トライアウトに参加したGKの人数は多かった。

4分の1コートでのゲームを行い、シュートもバンバン飛んできた。自分でもビックリするぐらい足元でのポゼッションが出来た。まずまずの手応えだったが、まるで先の見えない不安から「これで認めてもらえないならサッカー辞めようかな」という気持ちで過ごしていると、信じられないことにJ1の川崎フロンターレから獲得の連絡が来たのである。

「嬉しいしか覚えてないですね。『マジか!なんでオレなの?人生で、こんな嬉しいことあるのかよ!』と思いました(笑)。麻生の練習場は、ヴェルディから近いので、車でよく近くを通っていたんですよ。フロンターレの練習中にここを通ったこともありましたよ。でも『ここでプレーすることはないだろうなぁ』と思ってましたから」

 J2の出場経験はなし。そんな彼にとってJ1のフロンターレは、雲の上の存在だった。大学時代にたれてきた蜘蛛の糸をたどってきた男は、気付いたら日本でもっとも上のカテゴリーまで来ていたのである。不安はなかったのだろうか。

「そりゃあ、不安でしたよ。J2でもみんなうまいし、自分にとっては高いレベルでした。その上のカテゴリーで、しかも順位が上のチームのフロンターレ…ちゃんと選手としてやっていけるのか。不安でたまらなかったです。でも決まったからには、やるしかないですから」

 フロンターレに入って驚いたのが、その温かい雰囲気だった。面識のある選手はいなかったが、チームメートがみなフレンドリーに自分と接してくれることに驚いたという。

「たぶん森さん(森勇介)が事前にみんなに言ってくれたんだと思いますが、もの凄くやりやすかったですね。森さんが、『フロンターレは本当にいいチームだから。フロントの方もいい人』と言ってくれていて、チビくん(飯尾一慶)も『みんなやさしいよ』と言ってくれましたが、本当にその通りでした。ヴェルディは怖い人が多かったですから… 森さん、チビくん(飯尾)、土肥さんですけど(笑)」

 自分にとってはテレビで見たことのある有名な選手ばかりだった。日本代表の中村憲剛に挨拶に行くと「年上っぽく見える」と笑われた。中学生時代に夢中になった日韓ワールドカップでゴールを決めた稲本潤一と同じチームでプレーしている現実も、まるで信じられなかった。

 もっとも、チームに馴染めたのは新井のキャラクターもあるだろう。同僚たちは「話題に困ったら、章太さんをいじる流れがある」とフロンターレのロッカールームでの日常を証言している。例えば第3GKである高木俊は、普段のトレーニングではベンチ外になった新井とともに切磋琢磨する間柄だ。その彼もこう証言する。

「練習の雰囲気は明るくなりましたよね、間違いなく。常にみんなで章太さんをいじって笑っている感じです。というか、いじられやす過ぎます。言われやすいけど、それも運命ですね」

 菊池新吉GKコーチも同意見だ。新井のキャラクターについて聞くと、常に寡黙な彼も「ゴールキーパーの中でもそうですが、チーム全体でもいじられキャラですね。そういうところで人徳があると思います」とその表情をほころばせる。つまり、そういう存在なのだろう。

 この役回り、当の新井本人はどう考えているのか。

「試合に出れないことを『仕方がない』で片付けてしまってはいけないのですが、GKは一人の人が出続けるポジション。24、5歳の自分にはまだ経験が足りないと思っているし、今はみんなの技術を盗んでいる段階だとも思ってます。そんな中で、俺が出来ることは盛り上げることぐらい。うるさくしているわけじゃないのだけど… 意識しているというよりは、こういう性格なので勝手に出てしまうんですよ。それに、このポジションはまわりの信頼も必要だと思ってます。まわりが助けてくれることもあると思っているから。『新井だから守ってやろう』とみんなが思ってくれるようにもなりたいですね」

 実はとりわけ仲が良いのが大久保嘉人だという。チームメートからは「章太は嘉人さんのマネージャーでしょ」と冗談めかして言われるほど、この2人は常に行動を共にしているそうだ。

 今年の得点王をほぼ手中におさめた大久保嘉人は、いま、Jリーグで最も優れていると言っても過言ではないストライカーと、出場機会のない第4GKの組み合わせというのも、なんだか面白い。大久保嘉人にそのへんを聞いてみると、「マジっすか?どうしたんすか。章太で何の原稿を書くんすか?」と笑顔で驚きながら、新井章太について話してくれた。

「きっかけは、ヴェルディの飯尾さんですね。昔から仲が良くて、章太もヴェルディでは飯尾さんと仲が良かったので、よく一緒に飯尾さんの家に行っていたら仲良くなりました。ポジティブだし、いいやつですよ。そんなに気を使わくてもいい存在? いや、そんなにどころか、全然気を使わなくていい(笑)」

 新井も「チビくんの存在が大きいですね」と認めつつ、大久保嘉人とのこんなエピソードを明かす。

「綾町キャンプですね。サウナのテレビで相撲をやってたんですけど、ヨシトさんって相撲にすげぇ詳しいんですよ。『こいつ勝つから、見ておきな』って言ってて、『なんでそんなに知ってるんすか!』って、そこから一気に親しくなりましたね。函館キャンプのときには、もう完全に仲が良かったです。『新井、ジュース買ってこい』と言われたら、こっちも『ヨシトさん、フロ行くよー』って言いあったり。ヨシトさんとはまだ出会って10ヶ月ぐらいなんですけど、お互い、3、4年ずっと一緒にいるような感じです(笑)」

 親交はプライベートだけではなく、ピッチ上でも密接だ。チームの全体練習が終わると、大久保嘉人が新井の構えるゴールマウス向かってシュート練習に励む姿はいまや麻生の日常となっている。

「シュート練習は毎日やっていますね。シュート練習の後、ヨシトさんは俺にもいろいろ聞いてくれるんです。『今のこっちのコースがいいか?』とか。でももし俺が対戦相手のキーパーだったら、ヨシトさんには入れさせないですよ。別にそんなにたいしたプレーヤーじゃないのに、なんであんなに点が取れるのか不思議でしょうがないです」

 新井はそう軽口を叩くが、大久保嘉人のトレーニングパートナーをつとめていることが、新井にとっても貴重な糧になっているのは間違いないだろう。高いレベルでもまれると、自分の中での基準やアベレージは自ずとあがってくるものだ。自分が気付かないところでレベルが上がっているはずである。

 大久保にも聞いてみた。友人ではなく、GKとしての新井章太をどう評価しているのか。彼は率直な意見を言ってくれた。

「何気に良いと思いますよ。J2のヴェルディをクビになったと聞いたけど、そうは思えない。レベルは高い方だと思う。でももし、あいつが試合に出たいと言っても、『まだムリだよ』って言うかな。本人もわかっているから、そういうことも言ってこないけど。キーパーは本当に難しいと思うよ。でもいつチャンスが来るかはわからないし、それを掴むために、我慢しながら努力して頑張るしかないでしょ。あいつはメンタル的にも強いから大丈夫」

 いまだ公式戦出場の機会のない新井章太は、ときどき自分が試合に出てプレーしている夢を見るという。自分が出て試合に勝つ夢を。それほどまでに彼は試合出場に飢えているが、現実は4番手のという立場のGKだ。

「我慢ですよね、我慢。でも試合に出たいという気持ちもすごく持っています。Jリーガーで誰よりも試合に出たいと思っているぐらい。でもそんな思いのひとは日本にたくさんいるんだろうな、とも思ってます。3月にFC東京との練習試合で等々力に立ったんですよ。練習試合でしたが、あの雰囲気はマジで最高でした。あそこで本当にプレーしたい。等々力はマジで出たいんです」

 彼にサッカーの女神が微笑むかどうかは誰にもわからない。だが、女神というのは置かれた状況に最善を尽くしていた者に微笑むものだ。まだ何者でもない男・新井章太―― 何者かになる瞬間を掴むため、彼は前進し続ける。

マッチデー

   

profile
[あらい・しょうた]

「自分はまだまだ技術不足」と本人は話すが、「ボールに食らいつく気持ち、最後まで諦めないプレーは誰にも負けないつもり」と新天地での全力プレーを誓う。先輩たちの技術を目の当たりにしながら、さらなる成長を遂げてもらいたい。

1988年11月1日
埼玉県秩父市生まれ
185cm/80kg
ニックネーム:こやぶ

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