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eスポーツとフロンターレの未来

SCARZ Player Jay(ジェイ)

構成/麻生広郷 写真/大堀 優(オフィシャル)画像提供/ジェイ氏
edited by Aso Hirosato photo by Ohori Suguru (Official) Some Pics Courtesy by Jay

新型コロナウィルスの影響によるJリーグ延期を受けて開催されたeスポーツイベント「eJリーグ オンラインチャレンジカップ」。サッカーゲーム「EA SPORTSMTM FIFA20」を使ったこの大会で見事優勝したのが、川崎フロンターレの推薦選手として出場たeスポーツプレーヤーのジェイさん。子どもの頃からフロンターレのサポーターだったというジェイさんに、フロンターレとの関わりやeスポーツについて語っていただきました。

(聞き手:川崎フロンターレ 集客プロモーショングループ)

eスポーツで活躍されているジェイさんですが、もともとフロンターレの後援会会員でサポーターでもあるんですよね?

ジェイ 「そうなんです。最初等々力でフロンターレの試合を観たのが、確か小学校5年生6年生ぐらいだったと思います。確か広島戦だったと思うんですけど、田坂選手(田坂祐介・現千葉)、菊池選手(菊地光将・現山口)がゴールを決めた試合はスタジアムで観ました。その後中学生になって風間さん(風間八宏・2012〜2016年監督)のチームが始まって、攻撃的かつ魅力的なサッカーで面白いなと思っていました」

もともとサッカーを観るのが好きだったんですか?

ジェイ 「「もちろん観るのも好きですが、もともとクラブチームでサッカーをやっていました。僕は東京都杉並区が地元なんですけど、中学生の頃はクラブチームの練習を途中でやめて急いで等々力に向かってフロンターレの試合を観に行ったりしていました。その頃はよくGゾーンに行ってジャンプしていましたね

フロンターレで好きな選手は誰ですか?

ジェイ 「大島僚太選手のプレーが好きですが、小学校の頃からケンゴさん(中村憲剛)のファンでした。僕が入っていたチームのトレーナーの方がケンゴさんと知り合いで、そのトレーナーさんにケンゴさんの本を渡してサインをもらったことがあります。風間さんが監督の頃はレナト選手(2012〜2015年)が好きでした」

調子がいいときのレナト選手はキレキレでしたからね

ジェイ 「そういえば中学生のとき一度フロンターレU-15と練習試合をしたことがあって、田中碧選手と対戦したことがあるんです。自分たちはフロンターレと対戦できるようなレベルではなかったんですが、監督がケンゴさんの母校でもある東久留米総合高校出身で同期だったらしく、そのつながりかどうかわかりませんがうまくコンタクトが取れて試合ができました。はっきりとは覚えていないんですが、当時の田中碧選手はボールを刈り取るみたいな今の守備的な感じではなくて、足下がうまくて股抜きとかもするプレーメーカーみたいな印象でした」

ゲームも子どもの頃からずっとやっていたんですか?

ジェイ 「はい。もともと小学生の頃からサッカーゲームが大好きで、リアルのサッカーが休みの日は外でボールを蹴るというよりも家で友達とサッカーゲームをやってました。自分のプレーイメージや考えがテレビ画面のピッチで表現できるのが楽しかったんです」

最初から『FIFA』のシリーズをプレーしていたんですか?

ジェイ 「いえ、最初は確か『Jリーグ ウイニングイレブン』だったと思います。それから中学生の頃に友達に勧められて、『FIFA』でも遊ぶようになりました」

SCARZ Jay

ジェイさんは17歳にして『FIFA16』で日本一になっていますが、eスポーツの大会に出ようと思ったきっかけは何だったんですか?

ジェイ 「最初に大会に出場したのは高校2年生の終わり頃です。当時は『FIFA』の大会はそんなになかったんですが、『FIFA』のコミュニティで強い人たちが集まってオフラインの大会があったんです。それに誘われてちょっと出てみようと。そしたら小規模の大会ではあったんですが優勝しちゃったんです。それがきっかけで1ヶ月後に『FIFA16』の初めての日本大会に参加することになって、そこで優勝して僕の名前を知ってもらえるようになりました」

最初の日本大会で優勝してから、ずっと『FIFA』をプレーしていたんですか?

ジェイ 「まぁ、そこは紆余曲折あって、という感じなんですが(笑)。日本大会に出るタイミングで一度SCARZに入ったんですが、次の年の『FIFA17』になって一度やめたんです。『FIFA17』になってゲームの仕様の違いもあってあまり熱中できなくて、面白くなくなってしまったんですね。それから自分が好きなのはゲームじゃなくてサッカーなのかなって思うようになりました。じつは一度ゲームを全部やめて、サッカーの指導者を目指した時期があるんです」

そうだったんですね。

ジェイ 「もともとサッカーを観るのが大好きで、こういう理由でこういうプレーにつながるという戦術や理論に興味があったので。ゲームを全部やめてリアルなサッカーの現場のコーチを目指して、スペインの指導者ライセンス『モニトール』を日本で取得できる特別プログラムを受講したりました。モニトール自体は誰でも取れる資格なんですが、3ヶ月ぐらいですけどサッカークラブで小学生の指導者をやったこともあります」

高校生だと現役でサッカーを続けたいだとか、例えば部活だったら選手権やインターハイが目標の人が多いと思うんでですが、ジェイさんは指導者に興味があったんですね。ちなみに現役時代はどのポジションでプレーしていたんですか?

ジェイ 「ボランチがメインのMFでした。森谷賢太郎選手(現愛媛FC)みたいにシンプルにさばいたり、ボールを散らしてリズム作るみたいな。高校生の頃に親の知り合いを通じて、森谷選手にお会いしたことがあるんです。その知り合いの方が筑波大学サッカー部出身で森谷選手と近い存在で、本人に連絡してくれて。1週間後に麻生グラウンドに行って、練習が終わったあとに昼食をご一緒させていただきました」

ジェイさんは高校を卒業してから大学に行かれたんですよね?

ジェイ 「はい。1年間受験勉強をして大学に入って最初の2、3ヶ月は指導者の道を目指していたんですが、ちょうどそのときeスポーツプレーヤーのナスリ君(現鹿島アントラーズeスポーツチーム所属)が『FIFA』の世界大会で活躍したんです。ナスリ君は年齢的にはひとつ下なんですが、彼の活躍にかなり刺激を受けてもう一度『FIFA』をやりはじめました」

ゲーム業界のプロスポーツ選手たちはやはり若い世代が多いんですか?どのぐらいの年代の選手が活躍されているんでしょうか

ジェイ 「ゲームにもよるんですが、20代前半や10代の選手が多いです。『FIFA』の場合は20代後半の人もいますけど、動体視力が重要視されるゲームは若い人が多いと思います」

大学1年生でもう一度ゲームをはじめたということですが、ブランクを感じなかったんですか?

ジェイ 「最初は個人で練習していたんですが、ブランクはそこまで感じませんでした。『FIFA19』が発売されたのが一昨年の9月か10月ぐらいだったんですが、次の年の3月ぐらいに大会に出場したので。リアルサッカーだと1年2年はかかりそうですよね。ただ、高校生の頃と比べると強い人たちが大会に出場していて、プレーヤーのレベルはめちゃくちゃ上がりました」

『FIFA』世界大会に行くためには、やっぱり日本大会で勝ち上がらないといけないんですか?

ジェイ 「アジア予選があって、そこで優勝しないと世界大会に行けないみたいな感じですかね。まず『Weekend League』という毎週末行われるオンラインの大会でで30戦27勝以上という出場資格が必要で、その条件を満たしたプレーヤー7、80人が集まって、そのなかで優勝した1人だけが世界大会の出場権を得るとか。僕が出場した『eChampions League』はアジアから世界大会に6人出場できたので何とか行けたんですが、優勝者1人だけ出場できる世界大会はまだ出られていないです」

ぶっちゃけた話、『FIFA』の日本人プレーヤーのなかではトップだという感覚はありますか?

ジェイ 「いやいや、全然まだまだです。ゲームのモードによっても全然違っていて、例えばeJリーグの大会は選手の能力値が全員85で一定なんですが、世界大会では最強レベルの選手を使うので操作や戦い方を考えなければいけないんです。能力が一定の数値の大会は自信があるんですが世界につながる大会はいつもあと一歩というところで終わっているので、何とか勝ち上がりたいですね」

大会によって使うチームや選手は毎回変わるんですか?」

ジェイ 「変わりますね。選手の制限が大会によって違うので。ですから好きだからといってフロンターレの選手を使うわけにはいかず、そのルールに合った選手を使ってオリジナルのチームを作る感じです」

ジェイさんとフロンターレがはじめてコラボレーションしたのが、去年秋のルヴァンカップ名古屋戦の『KAWASAKI GAME SHOW』というイベントでした。そのちょっと前のタイミングでジェイさんが『FIFA19 eChampions League 世界大会』でベスト16まで行って、こちらからコンタクトを取ってぜひ一緒にやりましょうという流れでしたね

ジェイ 「はい。子どもの頃から観ていたフロンターレのイベントに参加できるということで嬉しかったです」

当日は『FIFA19』でジェイさんとサポーターの方でエキシビジョンマッチをやりましたが、ジェイさんは失点しそうな気配がないんですよね。なんでこんなに動きがなめらかなんだろうって。ジェイさんがフロンターレを使ってるんですけど、挑戦する人もフロンターレサポーターなのでフロンターレ同士の対戦になるという。世界の強豪チームを使っていいですよって言うんですけど、皆さん『いや、フロンターレで行きます!』って(笑)。もちろん圧倒的な強さでジェイさんの全勝でしたけど。でも、その頃はSCARZ所属じゃなかったんですよね?

ジェイ 「はい。SCARZの方に直談判して、もう一度入れてもらいました。それまではアルバイトをやりながらだったので、ゲームに集中できる環境で大会に出たいなと。自分から一度やめますと言ってSCARZを離れたので、『申し訳ないんですが、もう一度入らせてください!』と頭を下げてお願いしました(笑)」

世界大会ベスト16の実績を引っさげて復帰したということですね。下世話な話で申し訳ないんですが、eスポーツのプロチームに入ると給料が出るんですか?

ジェイ 「SCARZは大規模で歴史があるチームなのでスポンサーも多くて給料をいただけるんですが、現状はプロチームでももらえる方が少ないと思います」

大会ごとに賞金があると思うんですが、それはチームと個人で配分という感じですか?

ジェイ 「もちろんそれはちゃんと割り振りがあるんですが、日本の大会は法律上の問題で高額の賞金が出せなくて、『FIFA20 グローバルシリーズ eJ.LEAGUE』の優勝賞金100万円が一番高額だと思います。『FIFA』の世界大会だと出場して数万円、グループステージを突破して数十万円、優勝して600万円ぐらいでしょうか。その世界大会が月に一度あって、そこでいい成績を残した人たちが出場するワールドカップみたいな大会が8月にあって、そこで優勝して3千万円ぐらいです。でも、億単位の賞金が出る他のゲームと比べると『FIFA』はまだまだだと思います。まず世界大会に出ること自体なかなか難しいので、トップクラスのプロ選手も動画投稿サイトをはじめ、いろいろなことをやって生計を立てています」

なるほど。ジェイさんはゲーム実況とかはやってないんですか?

ジェイ 「つい最近はじめました。もともとゲーム解説みたいなことはしてたんですが、動画は残していなかったんです。ゴール集とか、今はゲーム内のモードを使った戦術紹介をしたりしながら毎日投稿しています。『Vamoo Jay/ジェイ』というチャンネル名です。よろしくお願いします(笑)」

ジェイさんはコロナウィルスの感染拡大により延期された『FIFA20 グローバルシリーズ eJ.LEAGUE』を代替する位置づけとして開催された『eJリーグ オンラインチャレンジカップ』で、フロンターレを使って見事優勝しました。フロンターレ代表で大会に出場するということで、どんな感情でしたか?

ジェイ 「それはもうめちゃくちゃ嬉しかったです。好きなチームを使って出場できるので、これは優勝するしかないなと思いました」

世の中がこういう状況のなかeスポーツという形でJリーグの大会が開催されて、フロンターレ優勝というのはサポーターの皆さんにとっても明るいニュースだったと思います。ケンゴさんもSNSで実況していましたし

ジェイ 「それからがらりと世界が変わりました(笑)。それまでは『FIFA』のファンの方だけ応援してくれていたんですが、ケンゴさんがツイートしてくれてからフロンターレサポーターやサッカーファン、たくさんの方々からメッセージが来て、さらにモチベーションが上がっていい感じで大会に臨めました」

『eJリーグ オンラインチャレンジカップ』にフロンターレ代表として出場したことで、何か変化はありましたか?

ジェイ 「まず、好きなチームで『FIFA』ができるというモチベーションがすごくて、プレーの精度や集中力が全然違いました。はじめての感覚というかゾーンに入ったみたいな感じで、『絶対勝てるぞ』なみたいな自信がありましたね。決勝前に『優勝してください!』と応援メッセージが来て、『はい、任せてください!』と強気に言えるぐらいでしたから(笑)。優勝したあとたくさんのフロンターレサポーターの皆さんからフォローとかが来て、いろんな方からおめでとうと言われてびっくりしました」

『eJリーグ オンラインチャレンジカップ』の優勝で、フロンターレサポーターの皆さんからのジェイさんやeスポーツへの注目度が高まりました。どちらかというと僕たちがジェイさんに乗っかっちゃう感じですが、またコラボレーションやセッションしたいですね

ジェイ 「やりたいですね。ぜひお願いします。じつは『FIFA16』で優勝した高校時代から、SCARZのなかで『フロンターレと一緒に何かやりたいね』ってずっと話していたんです。SCARZの上の人からもそういう話が来たらやっていいよと言われているので、ずっとスタンバイしてます(笑)」

世の中の情勢もありますし、オンラインでもできるeスポーツを盛り上げたいという話はいろんなところから出てくると思います。まずジェイさんとプロサッカー選手のオンライン対戦ができたら面白いですね。『FIFA』でのジェイさんの得意なプレー、強みはどんなところですか?

ジェイ 「リアルサッカーに近い考え方でプレーしているところだと思います。できるだけリアルサッカーの戦術をそのままゲーム画面に下ろすみたいな感覚です。僕はゲームの操作自体はうまくないと周りから言われていて、実際に難しい操作の技が必要なゲームは苦手です。でもサッカーを観るのが大好きで今でもたくさん観ているので、おそらくそれが『FIFA』に生きてるんじゃないかなと思っています」

急きょ開催された『eJリーグ オンラインチャレンジカップ』も、一回限りじゃなくて継続して開催してほしいですよね。『FIFA』を使った大会というのがポイントだと思います

ジェイ 「本当に続けてもらいたですね。中学生の頃『FIFA』をやってみて、より現実のサッカーに近い感覚で熱中しました。世界的に見れば『FIFA』の方が規模が大きいんですが、日本での大会の規模や数でいえば『ウイニングイレブン』が圧倒的です。僕としては日本の『FIFA』を盛り上げて大会やイベントを増やしていって、そこでプレーヤーやファン人口が多くなって、ゆくゆくは『ウイニングイレブン』と対等か、それ以上になっていったらいいなと思います」

最後に今後の個人的な目標と、フロンターレに対しての思いを聞かせてください

ジェイ 「個人的な目標はやっぱりひとつでも多くの世界大会に出て活躍して、世界的なeスポーツプレーヤーになることです。フロンターレに関してもひとつでも多くのイベントでご一緒できたら嬉しいですし、そうなったら川崎市にも住んじゃおうかなと(笑)。それぐらいの気持ちでいるので、eスポーツの世界で頑張っていきたいと思います」

今回オンラインでの対談でしたが、今後新型コロナウィルスが落ち着いたとしても人々の生活スタイルは少し変わってくると思います。フロンターレとしては逆にこういう機会を生かして、ジェイさんをはじめいろんなと人と一緒に面白いことを作っていきたいですよね。『eJリーグ オンラインチャレンジカップ』でジェイさんがフロンターレでeスポーツ初タイトルを獲ってくれて、『これで4年連続タイトル獲れたね』ってSNSでつぶやいていた人がいました。確かにそうだなって(笑)。ジェイさん、お互い頑張りましょう! 大会での活躍を願っています

ジェイ 「頑張ります!」

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[じぇい]

プロのeスポーツとして活動するチーム"SCARZ"。SCARZの由来は「傷」。「人々の心に跡を残し続ける存在」の意味が込めている。Jayは、そのSCARZのFIFA部門で活躍するプレイヤー。オンラインシーズン戦138戦無敗の前人未到の記録を達成し、2016年、若干17歳にしてFIFA16(SCARZ所属)で日本一の称号を獲得した若きスペシャリスト。優勝後一時SCARZを離れるが、2019年末にSCARZに再加入。子どもの頃から川崎フロンターレのサポーターで、今年4月に行われた「eJリーグ オンラインチャレンジカップ」に川崎フロンターレ推薦で出場、見事優勝を果たした。

ニックネーム:ジェイ

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