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ピックアッププレイヤー 2022-vol.01 〜FW9 / レアンドロ ダミアン選手

Vamos família

Vamos família

テキスト/高澤真輝(オフィシャルライター) 写真:大堀 優(オフィシャル)text by Takasawa Shinki (Official Writter) photo by Ohori Suguru (Official)

いつだって全力でボールを追い掛けてチームのために体を張り続け、勝利のためにゴールを奪い続ける。

ときに泥臭く、華麗にゴールを量産するレアンドロ ダミアンの姿は観るもの魅了し、胸を熱くさせた。

そのプレーの根幹にあるのはフロンターレへの“愛”。家族のようなクラブで、これからも歴史を築き上げていく。

 2021年12月6日、Jリーグアウォーズ。黒いスーツを着こなしたレアンドロ ダミアンがカメラにサインをしてから登壇。満面の笑顔でJリーグ最優秀選手賞のトロフィーを受け取り、感謝の言葉を述べた。

「最優秀選手賞をいただき、幸せな気持ちでいっぱいです。いつも考えているのは、チームの勝利のためにということです。ですからチームメイトがいたからこその受賞だと思っています。また家族の存在も大切です。家族がいるからこそ、モチベーションを持ってプレーすることができています。今シーズンは隔離生活もあり厳しい時期もありましたが、逆にそれが自分たちの団結力を生むことができました。団結力を持って戦うことによって、Jリーグで優勝することができました。また、チームメイトのおかげで得点王にたどり着くことができました。本当に感謝しています」

 そんな謙虚でいつも周りへの感謝を忘れることのないダミアンは昨季もフロンターレのために戦う姿はチームの力となり、在籍年数を重ねる度に欠かすことのできない選手となり、サポーターに愛される存在となっていった。

 振り返ると、ブラジルで数々の実績を残してきたレアンドロ ダミアンが川崎フロンターレにやってきたのは3年前の2019年だ。

 他のクラブからもオファーがあった中、「2年連続でタイトルを獲得していて、チームとしてすごく成長している素晴らしいチームだ」という好印象を受けて加入を決意。来日してからは「クラブが快く受け入れてくれ、サポーターも手厚く歓迎してくれた」ことは、今でも鮮明に覚えている。

 そして、この年はダミアンにとってフロンターレのサッカーにフィットするうえで重要なシーズンにもなっていた。

「とにかく僕は練習をしましたし、練習をしなければいけないと思っていました。チームとしてはタイトルを取ったあとの次の年だったので、時間が必要だと感じていましたが、とにかく練習をすることでフィットできると確信をして、やり続けました。いま、こうやって結果を残すことができているのは、この1年目があったからこそ。あのシーズンが自分の基盤を作りました」

 初の来日、初めてのJリーグ。もちろん多少の不安もあったことだろう。それでも周りの支えを受けながら戦術理解や、どうしたらチームに貢献できるかを常に考えて日々の練習に励んだ。

 そしてデビュー戦となった富士ゼロックス・スーパーカップの浦和戦では衝撃的な衝撃的な活躍を見せたのだった。

「いま振り返っても、すごく感情的な試合でした。スタジアムに入ったときに、あれだけ沢山のサポーターの皆さんたちが自分を受け入れてくれました。また、最初の試合でスーパーゴールを決めることができましたし、そのゴールがタイトルをもたらしたということを考えれば印象深い、心の中に刻まれている試合になっています」

 そこから次第にフロンターレに欠かせない存在へとなっていったダミアンは、ゴール前の得点に関わる仕事だけでなく体を張った献身的にプレーで、2019年はルヴァンカップ初優勝に貢献。

 2年目を迎えたシーズンはリーグ戦で13ゴール5アシストという成績を残してリーグ戦、天皇杯を制覇。常にチームのことを第一優先に考えてプレーしたダミアンは結果を残し続けた。そして、3年目となった2021年、大きな役割を鬼木達監督から任されることになる。副主将だ。

「監督から任命されたときは嬉しかったです。ただ、それで大きな責任を感じることはありませんでした。やるべきことは常にチームのために何ができるかを考えて、できることを精一杯やること。キャプテンであるショウゴ(谷口彰悟)をどうやって支えられるか、助けが必要なときにどれだけサポートできるかを意識していました。ただ、それは副主将の役割に任命されたからということではありません。僕は、今まで通りチームのために何が必要なのか、何ができるのかを考えながらやっていました。やはりチームのために戦う。それが一番重要で、大切なことなんです」

 言葉どおり、苦しい試合に展開になろうとも味方を鼓舞して谷口とともにチームを支え、献身的なプレーでチームを引っ張り続けた。前線から激しいチェイシングをしてGKまで相手にプレッシャーを掛けて、スライディングをしてまでも貪欲にゴールを奪いにいく。

 また、得点チャンスでゴールする確率が高い選択肢を選んで、味方のゴールをお膳立てすることも。まさに、”フォアザチームの点取り屋”だった。

「自分は前の選手ですが必要であれば前から激しくマークをしますし、前からのプレスを積極的に掛けていきます。とにかく全員でチームのことを考えながらやることが重要なんです。僕自身、そういったプレーや考えはずっと持ってやってきました。自分の攻撃の選手だけど前から守備をすることのほうに重点をおいてエネルギーを使うことが多いときもありますが、それはチームのためです。チームが勝つため、ゴールをするために必要なことなので、そのことを一番に考えてプレーしています。やはり、世界に目を向けてビッグクラブと言われる強いチームを見てみれば、活躍する選手はそういったチームのために戦える選手です。今まで、それを見て自分も学んできているので、やはり良い選手になるにはフォアザチームの精神が必要なんです。だからチームのために何ができるか、どうしたら力になれるのか、パスやアシストがチームの役に立つのであれば、自分はその選択肢を選び続けたい。それで勝利に貢献していきたいんです」

FW9 / レアンドロ ダミアン選手 FW9 / レアンドロ ダミアン選手

 チームとして昨シーズンは開幕戦からエンジン全開で勝点を重ねていき、2位との勝点差を離していった。

 ただ、ウズベキスタンで集中開催されたACLグループステージから日本に帰国したタイミングで主力選手の移籍や過密日程の影響もあり、拮抗した苦しい試合も増えてきた。その中で、第26節・福岡戦で初黒星。さらにルヴァンカップとACLのタイトルの道のりも敗退によって絶たれてしまい、悔しさに打ちひしがれた。

 ただ、誰一人として下を向くことはない。必死に前を向いて全員が足を力強く前へ前と進めていったのだ。

「とにかくやり続ける。あそこで負けてしまった、うまくいかなかったらといって自分たちの目標がブレるわけではありません。今まで自分たちがやってきたことが、間違っていたというわけではないので、とにかく続けることが大事でした。それは自分だけではなく、チームメイト全員が同じ様に考えていたので、チームとして落ち込まずにやり続けることによって盛り返すことができたと思っています」

 そしてACL遠征から帰国後、怒涛の6連勝から第34節の浦和戦でJリーグタイトルを獲得。悔しい経験が「自分たちはもう一度やらなければいけないんだ」と立ち上がり、選手それぞれが話し合い、鼓舞し合うことで、より強い団結力が生まれた。結果、前年の勝点「83」を超える数字を叩き出し、4試合を残して史上最速タイとなる優勝に輝いたのだった。

 また、ダミアン自身にとっても最高のシーズンだった。23ゴール、8アシストで得点王に輝き、ベストイレブン& Jリーグ最優秀選手賞を受賞。チームを勝利へと導くゴールを量産し続け、常にフロンターレのために戦い続けた姿が評価されたのだ。

「2020年のチームより強いチームになれました。自分としてもたくさんのゴールを挙げることができ、個人タイトルを取れたことはすごく嬉しいことですが、チーム全体が良いシーズンを過ごすことができたからこそ繋がったものです。チームメイトのみんな一人ひとりが活躍することによって、チームの力になり、そのチームの力が個人の力となります。本当に個人タイトルはみんなのおかげなんです。昨シーズンは在籍した2年間と比べて、より出場機会も増えたし、そういう部分も手伝って個人タイトルを獲得できたのかなと思っています」

 チームがあってこその自分──。そう強く考えてプレーしているからこそ最優秀選手賞を受賞することができたのだろう。もちろん、川崎フロンターレに来てから3年、チームメイトとの理解度が深まり、自分自身が成長している。

「チームメイトも自分のスタイル、特長を理解してくれています。この3年間は、自分もすごくフロンターレで色んなことを学び、成長できています。だからこそ今シーズンは出場機会を増やすことができたと思いますし、自分の特長を生かしてくれるチームメイトのおかげでここまで結果を残すことができました。特に、学ぶことができたのはFWとして前でボールを受けるだけではないというところです。前線で動いて、色んな役割をしないといけないと理解してやってきましたし、今シーズンはそれをうまく表現することができたと思います」

 数々のプレーはサポーターの胸を熱くした。もうフロンターレはダミアンの虜である。それだけに、他クラブへの引き抜きが噂されたときは不安な声も上がった。その中で第33節の清水戦でダミアンに愛を伝えようと多くのサポーターがブラジル国旗や横断幕を掲げて等々力が”ダミアン一色”に染まった。

「あれは本当に感動しました」

 幸せな気持ちでいっぱいになった。もうその時点でダミアンの答えは決まっていた。これからも、この幸せをフロンターレで感じていたい、と。

「本当に今、自分だけではなく家族もフロンターレにいて幸せを感じています。その環境を変える必要はありません。この3年間やってきて幸せなことしか感じられていません。ここでサッカーを続けたいと思いました。まずは来日した最初から自分たちを快く受け入れてくれました。それは僕たち家族だけではなく、どの外国人選手に対しても同じです。本当にクラブ全体が家族なんだと感じています。それは現場のスタッフだけではなく社長からクラブに携わる全ての人の思いがあるから、このクラブは素晴らしいと感じています」

 そして、常に気持ちは一緒に戦ってくれているサポーターとともにある。

「サポーターの皆さんにも常日頃からサポートしていただいて感謝の気持ちでいっぱいです。SNSのDMでメッセージを送って勇気づけてくれます。やはりサポーターがいるから僕たちは走って最後まで戦うことができています。それはお互いの気持がわかり合えているからこそ。自分たちはサポーターの皆さんの力を借りてピッチで戦う。逆に皆さんは自分たちが戦う姿、勝利をもたらすことで喜んでくれる。本当に良い関係性を築けていると思います」

 ダミアンはフロンターレという家族を愛し、このチームのために勝利を追い求めて新たな歴史を築き上げていく道を選んだ。

「この3年間を振り返っても来日してからすぐにタイトルを獲ることができましたし、本当に落ち着いてプレーすることができています。僕はここにいられることを幸せに感じていますし、家族も生活面が充実していてみんなが幸せな気持ちで過ごすことができています。本当に、あのときフロンターレに行くと決めた決断は正しかったと思っています。そして4年目となる今シーズンはリーグ戦とACLの2つを含めたタイトルを取っていきたい。昨シーズン以上に良いシーズンにしていきたいです」

 今シーズンは、W杯イヤーということもあり昨シーズン以上に過密日程になることが予想され、タフなシーズンになるだろう。それでも川崎フロンターレは掲げた目標に向かって歩みを止めることはない。

 勝利を追い求め、背番号9とともに、いざ2022年へ──。Vamos família!

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[れあんどろ・だみあん]

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恵まれたフィジカルを駆使して前線で攻撃の起点となり、アクロバティックなプレーでフィニッシュに持ち込むパワフルなストライカー。2021シーズンには最終節まで競り合った末にJ1得点王に。Jリーグアウォーズ年間最優秀選手賞も手にした。来日4年目となる今シーズンもタイトル獲得の牽引役に期待がかかる。

1989年7月22日、ブラジル、パラナ州生まれニックネーム:ダミアン

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