10/11 (月) 2010
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算数ドリル実践授業

text by
広報部
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秋晴れの澄み切った青空が広がる10月7日、フロンターレ算数ドリル実践学習が麻生区にある金程小学校で行われました。
実践学習とは、フロンターレ算数ドリルに出題されている問題を、実際に選手がドリルの対照となっている小学6年生の子どもたちの前で実践してみせるというもの。昨年、鄭大世、登里亨平の2選手が中原区上丸子小学校にて実践学習を行い、好評だったことから今年で2回目の開催となりました。
そして今年、この実践学習に参加したのは、稲本潤一、伊藤宏樹の2選手。イナは、怪我やワールドカップ出場により、なかなかクラブの地域活動に参加する時間が今まで持てなかったため、今回が初の登場となりました。
まずは、今回一緒に勉強をする金程小学校6年生1、2組、計70名の子どもたちとご対面。多くの報道陣に囲まれ、多少緊張気味の子どもたちでしたが、ウオーミングアップのため、準備体操やグランドを選手と一緒にジョギングしたりしているうちに、表情もやわらかくなり、和気あいあいとした雰囲気の中で授業スタート。授業は、子どもたち70名を半数ずつイナとヒロキのグループに分け進行します。
イナが今回実践するのは、「速さの単位」の勉強。イナのシュートスピードを測定し、生徒が蹴ったシュートスピードや、動物、乗り物のスピードと比較しようというものです。この日、イナは少し左足を痛めていたため、剛速球は蹴れずセーブしたシュートでしたが、蹴ったシュートがゴールに突き刺さり、ネットを大きく揺らすと、子どもたちから「おおお〜!すごい!!」と大歓声が!その後、イナが数回蹴ったシュートの内、一番早かった時速87kmと子どもたち自ら蹴ったボールのスピードを比べるため、全員がシュートの測定へ。一人2回蹴って早かったほうのスピードとイナのスピードと比較しましたが、生徒の中には、イナのシュートスピードに迫る男の子もいたりして大盛り上がり!女の子には、イナから「ボールの正面をまっすぐ蹴ってみよう」、「低いシュートのほうがスピードがでるぞ」などアドバイスをして、ボールの蹴り方を指導していました。
シュートを終えた後は、計算に移ります。「いきなり計算してって言われると緊張するわー。ボール蹴るだけやと思ったのに」と戸惑い気味のイナ。さらには、「分速なんか使わへんし」、「電卓の方が効率ええやろー」と算数が苦手な発言もチラホラ。でも、計算をいち早く終えて、ドラえもんの落書きをしていた少年を見つけ、「うわっ、めっちゃうまいドラえもんやん。先生に見つかったらオレが書いたことにしてええからな」と優しい一面も。
一方、ヒロキのグループでは、「道のりの求め方」の勉強を行いました。ヒロキが実際に50mを走り、生徒の50m走のタイムと比較。50m走をヒロキと同時にゴールするためには、何m前からスタートすればよいかを実践します。
まずは、プロサッカー選手であり、フロンターレでも快速でならすヒロキの実力を披露してもらうことに。「1人では寂しいから、一緒に誰か走って」との伊藤選手の要望に、男子生徒のリヨンくんが立候補。ハンデなしで2人で走る伊藤選手の50m走1本目。当然、ヒロキは手加減なし。リヨンくんを置き去りに、最後は流して6秒65。一緒に走ったリヨンくんは、8秒58。ヒロキは、「走る以上はしっかり走らないとね」と大人気なく力走。ここでリヨンくんのタイムを例題とし、ここから、問題をそれぞれ解いていきます。ヒロキも「難しいな〜」と言いながら、問題を解いている生徒たちを見て回ります。算数が苦手でヒロキの似顔絵を描いている生徒やヒロキに問題の解き方を教えてくれる生徒など、生徒たちも徐々にヒロキとコミュニケーションを取り始めます。
みんな試行錯誤しながら、友達と相談したり、先生にアドバイスをもらったり、ヒロキと一緒に悩んだり…。そして、それぞれ解答が出てきてところで、女子生徒が一人前に出て、解答をホワイトボードに書き出します。先生がその解答の説明をして、理解ができたところで、今度は自分たちのタイムから、ヒロキと一緒にゴールするための距離を導き出します。そして、その距離がそれぞれ分かるといざ実践。
生徒たちは2組に分かれて、ヒロキと一緒にゴールするための距離をスタートラインにします。生徒たちの第1組と走るヒロキの2本目。スタートの号令で走り出しますが、スタートダッシュが早かったヒロキがぐんぐん生徒たちに近づきます。40m付近で一気にトップに立ったヒロキは、単独でゴール。
「やっぱり勝つのは気持ちいいね」と趣旨とは違う結果に大満足。
当然、生徒たちからはブーイング。涼しい顔のヒロキに、スタッフからも「勝つのが目的じゃないんだよ」の声。
続いて生徒たちの第2組と走るヒロキの3本目。
ヒロキは2本目よりスタートダッシュがつかずに出遅れます。
これでは生徒たちに追いつかないのではと思いましたが、徐々に差を縮め、何とゴールで追いつき、みんな一緒にゴール。観ていた生徒たちも一緒に走った生徒たちも大歓声。
しかし、その喜びもつかの間。1組目に走った生徒たちから「もう1回走りたい」の声が飛び交います。そこで大人のヒロキから「もう1度走ろう!」との提案。1組目の生徒たちは大喜び。リベンジに燃える生徒たちは、予定外の4本目になるヒロキを尻目に勢いよく走り出し、一部の生徒はヒロキより先にゴール。やはり1組目はこの問題の趣旨に最後まで合わないまま終了。50mを4本「全力で入ってしまったー。めっちゃ肩で息してるよ(笑)」と清々しい笑顔のヒロキでした。
楽しかった授業時間も残りわずかとなり、最後はJリーガーらしいところを見てもらおうと、豪快なシュートのデモンストレーションにヒロキがチャレンジ。「お兄さんがシュートを決めたいと思いまーす!」とヒロキがアピールすると、周りの生徒たちは「お兄さん??」と疑問の声が。女性に人気のヒロキもさすがに小学生から見ると「お兄さん」ではなく「おじさん」世代になったのかも。男子生徒にセンタリングを上げてもらい、ゴールに突き刺す段取りでしたが、打ったシュートは、豪快にゴールバーの上へ…。「僕はディフェンダーなんで、ゴールにボールを入れてはダメなんです」と苦しい言い訳をしていたヒロキでしたが、2本目のチャレンジでは、見事(無事?)、シュートを決めてホッとした表情を見せていました。
授業を終えたイナは、「予想していたより楽しくできた。子どもたちのほうから積極的に話しかけたり、実技にしても自分たちからボールを蹴っていた。もっと自分としてはおとなしい子どもが多いのかなと思ったが、みんな活発で楽しい時間が過ごせた」と話してくれました。ヒロキも「実際に子どもたちと一緒に授業に参加してみて、思った以上に積極的で子どもたちから元気をもらえた。僕なんかは50m走を走ったが、予定よりも1本多く走ったし、楽しく走ることができた。あらためて子どもたちのパワーはすごいと感じることができた」と楽しく授業を体験できたようです。
フロンターレが関わることで、川崎の子どもたちが算数に親しみを持ち、そして地元サッカーチームにも親しみを持ってもらいたいと始めた「フロンターレ算数ドリル」と「ドリル実践学習」。
今年度の算数ドリルは、クラブが製作費全額負担のもと、市内全小学6年生に無償配布していましたが、来季は予算の関係上、全額負担することが大変厳しい状況にあります。そこで現在、川崎市にこの算数ドリルの教育的価値を認めてもらい、来季の製作を援助してもらえないか交渉中です。現在の5年生が6年生になった時も「フロンターレ算数ドリル」で勉強をし、そして選手が実践学習で市内の小学校を訪れることができるようフロンターレも頑張りますので、市内小学校に通う小学生の皆さん、そして父兄の皆さん、是非ご支援お願いします!
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