11月20日(土)、発達障がいの子どもたちへの取り組み「2021えがお共創プロジェクト」を開催しました。
主催は川崎フロンターレ、共催は川崎市とJTB、全日本空輸、富士通の民間3社で行政と企業による連携によって実施されたものです。さらに今回からは、障がい者向けの玩具やトレーニング用品を販売するコス・インターナショナル、保育図書や児童書を出版する世界文化ワンダークリエイトが協力、WEB-SHARKが「Yogibo(クッション)」の物品協力を行いました。
本取り組みは、2019年に発達障がいの子ども達にスタジアムでサッカー観戦をする機会を提供しようということで、『えがお共創プロジェクト』を立ち上げ、公式戦が行われる等々力陸上競技場に、センサリールーム(感覚過敏等に配慮した施設)を設置し、サッカー観戦と翌日の麻生グランドでのサッカー体験を実施したところから継続しているものです。
3回目の実施となる今年は、等々力陸上競技場とヨドコウ桜スタジアムでの2拠点開催。
川崎では2020年にも実施した「親子サッカー教室&パブリックビューイング」
大阪ではセンサリールームを特設し、安心してサッカーを観戦できるような環境を準備しました。
川崎市・等々力陸上競技場は快晴のなか事前募集をした15組45名子どもたちとご家族にご参加いただきました。
対象のお子さんのなかには、マスクを着用することが困難な子もいます。Jリーグの試合と運用は少し異なりますが、受付での検温・消毒、参加人数や対応スタッフの人数制限、使用する諸室の換気を徹底し、マスクの着用が難しいお子さんでも参加がしやすい環境を整えました。
受付時には、ANAさんより客室乗務員、パイロットのみなさんがお出迎え。子ども達にはひらがなで名札のシールを胸につけてもらいました。当日の対応スタッフも同様にひらがなでニックネームや名前の名札をつけ、子ども達とフレンドリーに楽しめる工夫も行いました。
最初のプログラムはサッカー教室。こちらはフロンターレのサッカースクールのコーチたちによって行なわれました。
受付で受け取ったビブスを着用し、まずは準備運動、その後、ボールを投げたり蹴ったりしながら少しずつサッカー教室らしくなっていきます。シュート練習ではコーチのデモンストレーションに「おぉっ!」と歓声が。コーンをうまく避けてのドリブルシュートも回数を重ねるごとにゴールの数が増えていました。最後にはみんなでミニゲーム大会も実施。コーチとご家族と一緒にボールを蹴ることで、参加してくれた子ども達の笑顔が非常に印象的でした。決してミスを責めない、次のチャレンジをみんなでサポートする。そんなサッカー教室でした。
続いてのプログラムはスタジアムツアー。
ツアーの前には、ひらがなでやさしく説明が記載された案内バインダーを配布。
次はどんな場所に訪れるのか、いまはどこにいるのかをお知らせするものです。
日頃、スタジアムで運営を行っているフロンターレスタッフと共に、選手達が座るベンチ、選手のロッカールーム、記者会見を行う部屋などを見学。
選手入場口ではカブレラがお出迎えをしつつ、選手目線での入場シーンを体験。心なしか、階段を上る足取りに緊張感を感じました。
スタジアムの上層階では、控え選手が試合を見学する部屋で、等々力陸上競技場を見おろす体験も。さらに記者会見室にはふろん太が駆けつけ、監督気分のふろん太と一緒に記念撮影。みんな思い思いのコメントを”監督風”に残していました。
また、ツアーでは案内バインダーの他に、ひらがなで表記された表示板も作成。
子どもたちの目に入る箇所の案内をできるだけひらがな表記にすることで、安心して楽しんでいただるよう準備しました。
いよいよ最後のプログラムはパブリックビューイング。セレッソ大阪戦の試合観戦です。
試合前には、同時刻開催をしているヨドコウ桜スタジアム内センサリールームと生中継。画面越しに伝わるスタジアムの臨場感を味わいました。そして麻生グラウンドで練習が終わった安藤駿介選手と田邉秀斗選手とのオンラインでの交流も実施。練習が終わった直後の2人が、リフティングなどの技を披露してくれました。
中継の途中には「どうやったらプロのサッカー選手になることができますか」と安藤選手に質問が。「うーん...」と悩んだあと「いっぱい練習をして、いっぱいご飯を食べて、いっぱい寝たらプロになることができるよ」との答え。会場は拍手に包まれ、さっそくクッションに寝転がる子どももいました。
さらにキックオフ直前には大阪で試合に出場する小林悠選手から等々力の参加者のみんなにメッセージ。「ぜひ次はぼくたちの試合を生で観にきてね」とのコメントで締めてくれました。これから試合に臨む選手からのメッセージに会場の熱気もあがってきました。
試合は応援の甲斐もあって4-1での勝利。
部屋にはセンサリールームをはじめ、子ども達がリラックスできるスペースや遊び道具を用意しました。試合に飽きてしまった子ども、じっとしていられない子どもでも自由に時間を過ごすことができるようになり、子ども達も各自のペースで楽しんでくれていました。
最後はお土産をもらい、マスコットに見送られながら等々力をあとに。
スタッフ一同、みんなの素敵な思い出になってくれていればとてもうれしいです。
参加してくれた荘田陽仁くん(7歳)は「ロッカールームでユニフォームを近くで見ることが出来て嬉しかった。フロンターレのプロ選手になって、等々力のピッチに帰ってきたい。」とコメント。『これからもフロンターレをおうえんしてね!』
さらに今年はセレッソ大阪さんと共同でも実施。
大阪の当事者5名とそのご家族で計13名にご参加いただきました。
現在使用していない、旧記者会見室をセンサリールームにして実施。
試合前には、両サポーターで作成した横断幕が掲出され参加者をお出迎え。
またセンサリールーム近くでは、両チーム社長によるお出迎えも行いました。
参加者は、歓迎の雰囲気に来てよかったと思ってくれたのではないでしょうか。
また、当日のビジョンをひらがな表記にするなど当日は終始参加者に配慮された取り組みが送られました。
試合終了後は、ふろん太も駆け付けて両マスコットと記念写真。
良い思い出になり、とても大きな一歩になったのではないでしょうか。
参加したお子さまのお母さんからは、「やはり観に行くのに勇気がいりますので、このような取り組みがあれば毎試合でも行ってみたいと思いました。」とコメント。
継続して取り組み事により、多くの方に知っていただき多くの当事者にサッカーを観てもらいたいと思います。
障がいに、「ホームタウン」は関係ありません。
今後とも、川崎だけでなく多くのクラブに広がっていけるように継続して取り組んでまいります。
今年で3回目となったえがお共創プロジェクト。
発達障がいのお子さんにサッカーを楽しんでもらうことはもちろん、積極的に各社、地域、サポーターのみなさんと協力していくことで、世間に現状を伝えていくことも使命だと感じています。
各社がノウハウを持ち寄って実施している本取り組み。次年度以降はより多くのクラブと協業してJリーグ全体の活動としていくことができるように企画していきます。
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